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「オム プリュス」と「ジュンヤ マン」の2024年春夏はどうだったのか?

Jul 21, 2023.三浦彰Tokyo,jp
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左:ジュンヤ ワタナベ マン 右:コム デ ギャルソン オム プリュス

コム デ ギャルソン社の2024年春夏メンズ展示会が同社の南青山本社で7月18〜20日行なわれた。6月25日にパリでコレクションショーを披露した川久保玲による「コム デ ギャルソン オム プリュス(COMME des GARÇONS HOMME PLUS)」と同日の渡辺淳弥による「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)」ももちろん展示された。

「コム デ ギャルソン オム プリュス」のテーマは「現実をこえる:BEYOND REALITY 新しい世界を見つけるためには、現実を超えなければならない」。なかなか意味深長な言葉だ。さんざん現実の服飾世界とはまるで異なる世界を追求してきた川久保玲のことを思えば、「何を今更」と思うような言葉だが、こうして現実の服飾世界を否定したりバラバラにして再構築する目的は、「新しい世界を見つけるため」なのだという風にも言い変えることができる。では、そうした末に見つけることができる「新しい世界」とはなんなのだろうか。全く新しい「服飾世界の美」と言っていいかも知れない。言葉遊びをしているわけではない。川久保玲は自身の創造の方法論を述べているのかもしれない。こんなことを川久保玲が言うのはもしかしたら初めてのことかもしれない。

「きれいは汚い、汚いはきれい(シェイクスピア『マクベス』)」という有名なセリフすら思い出す。そうした価値の逆転を徹底的に目指しているのだということを短い言葉の中に感じる。問題はそうして生まれてきた「新しい世界」が「美しい」かどうかなのであろう。

それが「美しい」かどうかは別にして、コレクションが実に考え抜かれているのはいつも以上に今回感得できた。出色だったのは、黒と緑のコンビネーションのシリーズ。これは実に美しかった。またプリントや刺繍(アップリケ)がいつになく多いシーズンだった。何か童心に帰っておとぎ話を読んでいるような趣きがある。また日本の靴メーカー「キッズラブゲイト(KIDS LOVE GAITE)」とのコラボによる先端が2つの靴や2足重ねの靴がかなりぶっ飛んだ印象だった。

「ジュンヤ ワタナベ マン」は、自分のウィメンズコレクションのアイデアをメンズに応用するという新機軸を見せた。「渡辺淳弥が本当にやりたいのはウィメンズコレクションで、メンズはコラボのオンパレード」という声が聞こえたのかどうか、かなり力の入ったコレクションだった。音楽は前回のレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)に続いてプログレの帝王ピンク・フロイド(Pink Floyd)の曲を使っていた。彼らの代表的アルバム「原子心母」のジャケットがプリントされたTシャツ(2万5000円)なども展示されていた。

ところで「ジュンヤ マン」の次回の音楽は「キング・クリムゾン」だと思うがどうだろうか。

 

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