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「シュプリーム」「デニム・ティアーズ」「ディオール」で話題のデザイナー、トレマイン・エモリーとは?

Dec 8, 2022.Tokyo,JP
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画像:トレマイン・エモリー公式インスタグラムから

世界のファッションシーンにはキーパーソンと言われる者たちがいる。時代を読み、オリジナリティ溢れるアイデアで新しい流れを作り出す者たちだ。例えば昨年11月にこの世を去った「オフホワイト(OFF-WHITE)」の創業者で「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズ・アーティスティック・デザイナーのヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)や10月3日に「バーバリー(BURBERRY)」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーの就任したダニエル・リー(Daniel Lee)、「ヴェトモン(VETEMENTS)」創業者で「バレンシアガ(BALENCIAGA)」デザイナーのデムナ(Demna)、「イージー(YEEZY)」のデザイナーでラッパーのイェ(Ye)などがすぐに思い浮かぶ。

他にも各ジャンルにおいて何名か思い浮かぶが、もう1人名前をあげるなら「デニム・ティアーズ(Denim Tears)」デザイナーのトレマイン・エモリー(Tremaine Emory)だ。2022年2月16日に「シュプリーム(Supreme)」のクリエイティブディレクターに就任以降その名前が世の中に広まったエモリー。今回はそんなエモリーの魅力について解説したい。

トレマイン・エモリーを説明する上で絶対に欠かせないのが、アフリカンアメリカンの歴史的背景だろう。エモリーがデザインする上で大切にしているのは「メッセージ」である。カニエやエイサップ・モブ(ASAP MOBB)のコンサルタントを勤めていた彼がデザインした「リーバイス(Levi’s)」の501に花柄をプリントしたデニムパンツ。この花は、ただの花ではない。1619年から始まった黒人奴隷制度。その主な労働こそがデニムパンツにプリントされた綿花詰みの花なのだ。「デニム ティアーズ」自体、人種差別や奴隷制度へ抗議する運動と文化的な活動に力を注いでおり、共感、賛同する声が後を絶たないのである。

もう1つはサンプリングセンスだろう。これはヒップホップ文化に触れたことのない人には馴染みにくいワードだ。極端な話、サンプリングとは「昔のものを今っぽくすること」で、その昔のものというのが何なのか、どう落とし込むのかがセンスである。エモリーが「デニム ティアーズ」で使ったサンプリングネタは「ラルフローレン(Ralph Lauren)」が1989年から1992年まで製造していた「ポロ カントリー(POLO COUNTRY)」だ。エモリーがクリエイティブディレクターを務める「シュプリーム」のデザインやカニエ・ウェストの着こなしなど、今のファッション業界で注目を集める人たちはこのセンスがピカイチなのである。

先日発表された「ディオール(DIOR)」とのカプセルコレクション「ディオール ティアーズ(DIOR TEARS)」が発表された。「ジャズの旅」をキーワードに製作された本コレクションは、アフリカンアメリカンのルーツである赤、黄、緑のボーダーモヘアニットや平和、反戦運動のピースマークのベルトバックルやネックレス。そしてヒッピー文化を象徴する鍵編みのバケットハットなど「ディオール」のエレガントなアイテムに「デニム・ティアーズ」のエッセンスがふんだんに盛り込まれたコレクションだ。

本コレクションに対してエモリーは「歴史のある瞬間、ある美しい時代を共有したいのです。当時のヨーロッパの都市には、アメリカを逃れて渡ってきた黒人の作家やミュージシャン、アーティストが数多くいて、各都市である程度受け入れられていました。彼らの芸術性はもちろん、彼らの存在自体がリスペクトされていたのです。完璧ではなかったとしても、アメリカの恐怖や憎悪、同国の黒人差別法による人種分離政策から逃れる権利と機会に恵まれた素晴らしい時代だったと言えます。アーティストのマイルス・デイビスたちや作家のジェイムズ・ボールドウィンたちは、パリに安息の地を見出したのです」とコメントした。

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