1951年にフィンランドで誕生した「マリメッコ」は鮮やかな色づかいと独創的なプリントをデザインした商品ラインアップが特徴。 婦人服・紳士服・子供服のほか、鞄、インテリア用品や食器などの生活雑貨も展開している。ケシの花(ポピー)をモチーフとした「ウニッコ(Unikko)」など、2021年に70周年を迎えた「マリメッコ」を代表するデザインの多くはマイヤが手掛けたものである。マイヤはテキスタイルデザイナーとして38年間でマリメッコに500以上のデザインを提供した。
「マリメッコ」の創業者のアルミ・ラティア(Armi Ratia)は、プリントの花は自然界の花には決して叶わないという理由から「花」をモチーフにしたプリントデザインを禁止していた。しかしマイヤは、1964年、「マリメッコ」で禁止されていた「花」をモチーフにしたデザイン「ウニッコ」を発表した。このデザインが後に、1991年に倒産寸前だった「マリメッコ」を救うことになる。
マイヤは、1927年にフィンランド・ヘルシンキから60キロほど離れたアロランミという村に生まれた。マイヤは19歳で娘を出産し、その後、ヘルシンキの芸術大学へ進学。在学中にマリメッコ創業者アルミ・ラティアに認められ、デザイナーとしての道を歩み始める。そして、旅することを原動力としたマイヤは、社会が移り変わる激動の時代に世界中を旅し、そこで出会った人々や見聞き経験したすべてをエネルギーに変えて新たなデザインを生み出していく独自のスタイルを作っていった。また、恋多き女性でもあったマイヤは三度の結婚・離婚を繰り返し、恋愛をも創作の糧としていた。マイヤは「最も想像力がかき立てられるのは、自由である時。旅をしている時」と語る。
「花」を愛し、「自由」を求めて世界中を旅したマイヤは、旅をしながら仕事を続け、娘のクリスティーナは、旅先から届くイラスト入りの母の手紙に胸をときめかせていたという。休むことなく創作活動を続ける母の背中を見て育ったクリスティーナは、16歳になるとマイヤの仕事の手伝いをするようになり、1968年からはマイヤ・イソラとクリスティーナ・イソラ(Kristina Isola)の2人組デザイナーとして、作品に名前が入るようになった。
マイヤは、2001年3月3日に亡くなるまで絵画の制作に取り組んでおり、フィンランドの美術コレクションに多くの作品が収蔵されている。「マリメッコ」で手掛けたデザインの多くは復刻され、現在、デザイナーとなった娘のクリスティーナ、孫のエンマの三代に渡って継承されている。
1人のデザイナーが手掛けたものとは思えないほど多彩なデザインを次々と生み出したマイヤ。本作では、そんな彼女の知られざる人生と創作の源を、彼女が生んだカラフルなデザインや絵画、娘クリスティーナの証言と送られた手紙、アーカイブ映像などを通してひも解いていく。結婚・離婚を繰り返しながらも、娘への愛に溢れていた彼女の自由で率直な生き様と、劇中に登場する色鮮やかなファブリック作品、絵画の数々に注目だ。
映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』
公開日:3月3日(金)
監督:レーナ・キルペライネン
出演:マイヤ・イソラ、クリスティーナ・イソラ、エンマ・イソラ
2021年/フィンランド・ドイツ/フィンランド語/100分/カラー・モノクロ/ビスタ/5.1ch/原題:Maija Isola 英題:Maija Isola Master of Colour and Form
後援:フィンランド大使館 配給:シンカ + kinologue
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●公式サイト
maija-isola.kinologue.com