FLASH NEWS
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail

マンネリ化した12月の顕彰イベントは師走の風物詩なのか?

Dec 6, 2022.三浦彰Tokyo,JP
VIEW1
  • share with weibo
  • share with LINE
  • share with mail
「村神様」が2022年ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞を受賞した村上宗隆選手

「師走の風物詩」ということで存続しているのだろう。12月に入って、今年を振り返るベスト〇〇、年間大賞という発表が相次いでいる。まず11月に候補30語がノミネートされた2022年ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞が発表になった。予想通りというかセ・リーグの三冠王になり、10月のシーズン最終戦(141試合目)で56号本塁打を放ち、歴代単独2位(1位はウラディミール・バレンティンの60本)を記録した村上宗隆選手のニックネーム「村神様」が年間大賞を受賞。この記録にケチをつけるわけではないが、バレンティンは130試合で60本、歴代3位(55本)の王貞治とローズは140試合、同3位のカブレラは128試合だ。バレンティンの凄さを改めて浮かび上がらせることにもなった。どうもスポーツ選手が流行語大賞というのもシラける。サッカーのワールドカップが今回11月、12月開催になって、日本がグループリーグでドイツ、スペインという強豪に逆転勝ちするという「大番狂わせ」があって、「村神様」どころではなく「森保様」「ジャイアントキリング」「ブラボー!」(長友佑都選手の試合後インタビュー)などの流行語を生み出したのも皮肉だった。「村神様」がカスんでしまった。それに野球なら「大谷翔平様」(「大谷ルール」でノミネート30入り)がいるのだから、よほどの大記録でもない限り、ちょっと「大賞」はふさわしくない。

ファッション関係では、「スマホショルダー」とサプリメントということでギリギリファッション関連の「ヤクルト1000」の2つがベスト10入り。いずれにしても、選考方法も含めこの流行語大賞はちょっとその在り方を検討してもいいのではないか。

その前日11月30日に発表になったのはMFU(一般社団法人メンズファッション協会)主催の「ベストドレッサー賞2022」。なんと今年は51回目だという。メンズファッション協会だから男性が選ばれているのかと思えばさにあらず。芸能・スポーツ部門で杉咲花(俳優)、特別賞で大水綾子(染織芸術家)の2人の女性が受賞しているのが不思議。さらに賞に重みをつけるためか特別賞に大谷翔平が選ばれている。他にも芸術・文化部門にアーティストの長坂真護、芸能・スポーツ部門にアーティスト・俳優のJ SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの岩田剛典、イリュージョニストのメイガスが受賞している。この人たちがベストドレッサー賞を受賞するのに値するのかどうかは私には分からない。そもそも誰が選んでいるのか?受賞者よりも、選定者の名前をこそ明記すべきではないのか。圧巻なのは政治・経済部門で受賞の野本弘文東急株式会社代表取締役会長。現在の東急グループを築いた功労者の一人なのだろうが、なぜベストドレッサー賞なのかはバストアップの証明写真風写真ではとてもわからない。東急グループが創立100周年ということと、この「ベストドレッサー賞2022」の発表・授賞式がセルリアンタワー東急ホテルで開かれたことが受賞の要因になっているのではないかということぐらいは私にも容易に推測できる。MFUは「ベストファーザー イエローリボン賞」というイベントも毎年6月に開催している。

MFUは同日に、第19回「ベストデビュタント賞」(これからの活躍が期待される新進気鋭のクリエイターやアーティストを顕彰する)の発表も行った。ピアニストの小林愛美、デザイナーの土居哲也、建築家の山田妙子、デザイナーの進美影の4人が受賞した。こちらの賞には幾分意味がありそうだが、なぜMFUがそうした賞を与えているのかはよく分からない。これを機に新人たちが世の中にその存在を知ってもらえればということだろうか。

日本にはこうしたマンネリ化した賞が多過ぎないだろうか。「いや風物詩だから、なくなったら寂しい」という好意的な声があるのだろうが、忘年会の余興というポジションが似合いではないかと思う。

READ MORE