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2022-2023年秋冬パリコレクション総論

Mar 25, 2022.もりかおりTokyo,JP
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「ルイ・ヴィトン」2022-2023年秋冬コレクション

2月28日から3月8日の日程でパリコレクションが開催された。ミラノに続きテーラリングの提案が広がり、そこにセクシャリティをどう加えていくかがキーとなった。メゾンのアーカイブとの対話、女性への讃歌、色が放つパワー、様々な考察を経て、現代に最も寄り添う形をデザイナーは探っているようだ。

■ムッシュの愛したアール・デコにモダンなスピリットを加えた「サンローラン(Saint Laurent)」
エッフェル塔を望むサンローランのショーは今やパリコレの風物詩だ。パンデミックで自粛ムードだったファッション界が再び息を吹き返したことを実感させてくれる。キラキラと輝くエッフェル塔に負けない輝きとモダンさ、そして今シーズンはエッフェル塔のシルエットのようにほっそりと長いラインを描いていた。創始者イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)がアール・デコに傾倒し邸宅をアール・デコで飾り立てていたことから着想し、直線的なカッティングとモダンなムードを吹き込んだ。今までのアンソニー・バカレロ(Anthony Vaccarello)はメゾンのセンシュアルな部分の切り抜きが多かったが、アーカイブと共にムッシュの思考に思いを馳せ、コンテンポラリーなスピリットをデザインに盛り込んだ。バカレロになってから最もエレガントで力強いコレクションだ。

■ジェスキエールから若者へ。枠に囚われない自由な精神を後押し
「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」のニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)は歴史に裏打ちされたヒストリカルなムードを巧みなサンプリングで現代に調和させることに長けている。今シーズンは青春時代の決まり事に囚われず、純粋に身に纏いたいという直感を頼りに、若さに捧げたコレクション。クラシックなメンズライクのアウターやガーリーなジャンパースカート、90年代スポーティなど様々なテイストを持ち込んだ。それらに中世のヒストリカルなバランスを加えることで、個性を形成する青春時代特有のユニークな瞬間を楽しむことを提案している。

■女性らしさを提げてパリコレに復帰した「サカイ(Sacai)」
久々にパリでショーを再開した「サカイ」。代名詞でもあるハイブリットは抑え気味にし、今回はもう一つのルーツであるランジェリーから着想を得て、いつも以上に女性らしさやそこから発せられる強さを意識した。緩やかなパッドでバッスルのような立体感を出し、バストを強調するためにウエストは絞られた。オートクチュール ではジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)自らのオファーにより初代ゲストデザイナーとしてクチュリエを経験し、今回は「カルティエ(Cartier)」とのコラボレーションでアクセサリーも発表。様々な経験を経て、阿部千登勢が考える女性像も熟考を重ね成長しているようだ。

女性像の変化といえば「エルメス(Hermes)」もいつになくセクシーさが前面に出ていた。「ドリス ヴァン ノッテン(Dries Van Noten)」も「極度のフェミニティ」と謳って、フラットになっていくセクシャリティと逆行し、官能的な女性を描いた。「ヴァレンティノ(Valentino)」はピンクとブラックただそれだけで十分、と言わんばかりに鮮烈なカラーから発せられる女性を圧倒的なクチュールのテクニックで美しくパワフルに描いた。

パンデミック後、渡航規制も緩まり、サカイをはじめパリでの発表を再開した日本勢も出始めた。一筋の光が見え始めた頃、ロシア軍のウクライナ侵攻が勃発。世界平和が第一だが今後経済の混乱は免れない。ファッション業界にとっても大きな打撃だ。ウクライナ難民に自身の経験を重ね、過去のトラウマ(出身地のグルジアはロシアの侵攻を受けたことがある)からショーのキャンセルも考えたという「バレンシアガ(Balenciaga)」のクリエイティブ・ディレクターであるデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)は「恐れないこと、抵抗すること、そして愛と平和の勝利への献身」の証としてウクライナに捧げるショーを行った。吹雪の中、必死に堪えて立ち向かうというのは元々のコンセプトだったが、冒頭にウクライナの詩人(オレクサンダー・オレス)の詩がデムナ自身の声で読まれ、ラストにはウクライナカラーのドレスが登場した。プレスリリースとともにデムナの手紙が添えられていて、自身の生い立ちとショーに至った経緯などを知らせる内容だった。

「ステラ マッカートニー(Stella McCartney)」もフィナーレの曲を急遽ジョン・レノンの反戦歌でもある「Give peace a chance」に変更した。「イザベル マラン(Isabel Marant)」、「コシェ(KOCHÉ)」などはデザイナー自身がラストにウクライナカラーのニットやバッジをつけてフィナーレに現れ平和への願いを込めた。ファッションのパワーを信じて、デザイナー達は今できる事、これからすべき事を必死に探っているようだ。

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