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前編:2008年リーマン・ショックからファッション・アパレル業界を振り返る

Apr 3, 2018.久米川一郎Tokyo, JP
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GAPフラッグシップ銀座とZARA銀座店

2008年の9月15日のリーマン・ショックから、ほぼ10年経過した。リーマン・ショックというのが世界の金融市場をめちゃくちゃにしたのはご存知の通り。今こうして株が下がっているとはいえ、リーマン・ショック後の日経平均は1万1000円台から7000円台まで落ち、その後遺症がほぼ4年はあった。株式市場も4年間ずっと下がり続けていた。(日本市場に限らず)特にラグジュアリー・ブランドが全く売れなくなってしまって大打撃を受けた。どう底を打ったかというと、日本ではこれは第2次安倍内閣が2012年の12月に発足したのが契機。ここで株式市場とラグジュアリー・ブランドについてはアベノミクスの恩恵があり、その間日経平均は一貫して上がり続け、今は2万1000円台になっている。そうした中でほとんどのラグジュアリー・ブランドが2008年以前にマークしたピークを更新している。ブランドによほどの特殊な事情がない限り、それについては株式市場の順調な上昇の恩恵を受けている。加えて、2014年あたりからインバウンド需要が神風のように日本市場に巻き起こった。これらの要因が非常に大きかったと言えるだろう。

もう一つ2008年~の大きな変化は「H&M(エイチアンドエム)」の日本上陸である。例えばH&Mについていえば、ほぼ日本市場での売り上げがゼロから今は500億〜600億円の規模にまで拡大していると言われている(H&Mが上場会社であるにも関わらず日本市場の数値を公開していないのでこれは推定数字である)。H&Mの上陸が起爆剤になってそれ以前に上陸していた「ZARA(ザラ)」が500億〜600億と「H&M」とほぼ同規模。さらにその中で一番早く日本に上陸していたGAPブランドなども、同じような売り上げ規模またはそれ以上の規模になっていると推測される。GAP社の場合は「Old Navy(オールドネイビー)」の日本撤退はあったが、日本で海外SPAブランドは売り上げを順調に伸ばしてきている。とは言え「H&M」と同時期に日本に再上陸していた「FOREVER21(フォーエバー21)」のように伸び悩んでいるブランドもないわけではない。
ファーストリテイリングの「ユニクロ」について言えばが日本市場においては飽和しているとはいえ、海外市場での進捗があって、今年の8月決算では海外の「ユニクロ」の売り上げが国内の「ユニクロ」を超えるのは確実だとみられており、ファーストリテイリングも年商2兆円に届くのはほぼ確実だ。4大SPA(「H&M」、「ZARA」、「GAP」、「ユニクロ」)が日本市場において非常に大きな存在になったというのが、この10年を振り返って大きな出来事だったと言える。ラグジュアリー・ブランドと低価格帯のSPAブランドが伸長した10年と、この10年を振り返ると大雑把にいうことができるだろう。

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