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タレントブランドの5年生存率は10%!?その存在意義とは?

Jun 6, 2019.橋本雅彦Tokyo, JP
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「フェンティ」公式インスタグラムより

LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)グループがシンガーソングライター、女優、モデルであるロビン・リアーナ・フェンティ(Robyn Rihanna Fenty)を起用した新ブランド「フェンティ(Fenty)」をスタートさせる。もしこのニュースを不思議がらないのであれば、あなたは新世代の消費者なのかもしれない。しかし松田聖子の「フローレスセイコ(Flawless Seiko)」を始めとして吉永小百合の「サユリ(Sayuri)」、ビヨンセ(Beyonce)だのヒルトン(Hilton)姉妹だの若槻千夏、篠田麻里子、佐々木希、梨花などなど嫌になるほどタレントブランドの盛衰というものを見てきた者として、その5年生存率は直感的に言って10%以下ではないのだろうか。瞬間的に儲かったケースとして、神田うのとグンゼが組んだパンストなどというのを思い出すが、あれももう消滅したそうで、神田うのは2匹目のどじょうを狙って今もいろいろとやっているようだ。タレントブランドでグーグルすると、「Rank Best」というランキングが見つかり、ローラ、ダレノガレ明美、藤田ニコル、益若つばさ、舟山久美子、南明奈、木下優樹菜、双子のAMIAYA、渡辺直美などがランクインしている。5年後に彼女たちがタレント活動をしてそこそこ売れているかどうかが、まず問題なのであるが。さて、「Rank Best」での現在のタレントブランドのベスト3はインスタフォロワー25万人のネオギャル植野有砂の「フィグ アンド ヴァイパー(FIG & VIPER)」が第3位。第2位は『エッグ(egg)』モデルだった今井華。で、第1位は松本恵奈の「エモダ(EMODA)」。え、「エモダ」もタレントブランドなのか。松本恵奈は「モードギャル」のハシリだそうだが、タレントと言っていいのかな。百貨店で見たことがあるが、タレントブランドとは一線を画したれっきとした洋服ではあった。5年生存率10%をクリアできるかどうかは微妙だが、少なくとも救命ボートには乗れたというレベルか。タレントブランドの5年生存率10%と書いたが、プロの会社のプロのデザイナーたちが作った新ブランドとて5年生存率はせいぜい20%だろう(5年後に生き残っているのは5ブランドにひとつという感じ)。というか、5年生存率20%では市場に送り出す勇気は普通のファッションメーカーにはない。だからプロのファッションメーカーは新ブランドを出すことは最近ほぼなくなっている。そうした状況でこうしたタレントブランドの存在意義はそれなりにはあるのである。枯れ木も山の賑わい的な存在意義と言おうか。

ま、こういう日本のブランドと世界の歌姫リアーナの「フェンティ」を一緒にするのも、どうかとは思う。LVMHの恐ろしいほど金をかけたマーケット調査で「OK」が出ているのだから、「失敗はありえない」はず。しかし、である。その経験則からいって、5年生存率はやはり10%。その例外が「フェンティ」であることを祈ろう。LVMHの基本ブランド戦略は、すでに名のあるブランド、いわゆるラグジュアリー・ブランドに投資して勢力を拡大するもの。海のものとも山のものともわからないブランドに投資したのは1987年にメゾン開設した「クリスチャン ラクロワ(Christian Lacroix)」だけではなかったか。2005年にLVMHはメゾンを売却している。18年間の「生存」は立派!?果たしてLVMHは「クリスチャン ラクロワ」失敗の汚名を「フェンティ」で晴らせるだろうか。

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