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やっぱり、この3社はやっていることが違う!

Mar 18, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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アダストリア本社(PHOTO:SEVENTIE TWO)

オミクロン株による新型コロナ感染は高止まりの様相を呈している。さらにウクライナ・ロシアの停戦交渉もなかなか進展しないと思っていたら、宮城・福島で震度6強の地震があった。本当に良い話題がない。ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリと続いたファッションサーキットも3月19日からは東京ファッションウィークが始まったが、目の覚めるようなコレクションは期待できそうもない。ファッション&アパレル業界にも「明るい話題」「前向きな話題」が本当に少ない。コロナ禍でリストラ(人員削減)を余儀なくされている企業では、社員はいつ指名解雇の対象にされるか戦々恐々としている有様で、次代に向けた種播きなんていうのが出来るはずもないだろう。

そうした中で、積極的な新規事業のニュースが出てくるのはやはりコロナ禍でも業績好調企業ということになるだろう。言い換えれば、「次代に向けた種播き」をいつもしているからコロナ禍でもそれを跳ね返すだけのパワーが発揮できるということなのだろう。

最近目についた「明るい」ニュースは、ファーストリテイリングの「ユニクロ(UNIQLO)」が3月16日に、東京済生会中央病院(港区三田)1階に14坪ほどのショップをオープンしたニュースだ。「前あきインナー」や「エアリズム」下着など病院での生活にした衣料に特化した品揃えだ。同病院のある職員から「院内にユニクロの店があればいい」という声が病院のカスタマーセンターに寄せられ、それがさらに「ユニクロ」のカスタマーセンターに届いたのだという。最近「駅ナカ」店舗の総撤退を行ったユナイテッドアローズなどのことを思えば、この店が利益店舗になるとは考えづらいが、「ブランドは善行を積み重ねていくことでイメージがアップしそれがいずれ大きな売り上げや利益として花開く」というブランディングの「鉄則」からすれば、損得を超えてやらなければならない仕事なのだろう。今回も「ユニクロ」ってなんて素晴らしいブランドだろうと思ってしまう人々が少なからずいると思うが、その時点でこの院内店舗は成功である。

病院と言えば、絶好調企業のひとつであるワークマンが、医療機器メーカーのコラントッテと共同で肩痛などの緩和と血行改善用の磁気健康用品の同社専用品を開発し、3月11日から全国の店舗で販売を開始した。これも作業服の購入客や同社の商品開発アンバサダーから作業用ヘルスケア製品の強化を望む声が高まっていたことから商品化になったという。半袖インナーに永久磁石を組み込んだケアシャツ(1900円)や既存商品から装飾性をそぎ落としたシンプルなデザインのネックレス(5800円と6800円)などがある。顧客の声があったとは言え、何かビジネスチャンスはないかと四六時中考えている意欲に溢れた社員が多くいないと、「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」「WORKMAN Shoes」のように大ヒット商品が次から次には出てこないと思う。今回のヘルスケア商品も作業員たちに効果があるなら、私も買ってみようかという気になるから、ヒットは確実ではないか。ところで今回はコラボ商品なので「WORKMAN HAELTH」とは名付けなかったのか、それとも別の理由があるのだろうか。

このニュースを見た時に何かの間違いではないかとタイトルを見直したのが、「アダストリアが中国で独自素材を販売」という記事だ。アダストリア の海外子会社である久恩玖貿易上海(ナチュラルナイン上海)は2023年春夏向けから、自社開発した生地の中国国内での販売をスタートするという。4月に開催予定のインターテキスタイル上海の日本ブースに出展し、日本で販売実績のある素材を中国企業に提案し受注を得ることに加えて中国市場で売れる商品を素材の原料・機能・色柄から合わせていくという。すでにアダストリアは、自社ブランド向けにジャージー、布帛、ニットなど年間500ほどの素材開発を行っており、そのうち商品に採用される素材は50程度なのだという。この記事が事実だとしたら、「アパレルやめて素材屋になるのですか?」と尋ねたいぐらいの徹底ぶりだ。仕入型のSPAから完全なSPAへ進化し、今では自社で素材開発まで行っていたのだ。さらに中国市場攻略のために中国で好まれる素材を知るために中国での素材展にも出展する。これだけ地に足の付いたことを徹底してやっていれば、成果が上がらないわけはない。

このアダストリアという企業は、「ローリーズファーム(LOWRYS FARM)」の不織布トートが大ヒットして原宿を席捲した「ポイント」時代とはちょっと様相が変わっているようだ。コロナ禍で悪化した業績も今期は一気に回復しているアダストリアだがそれだけのことはしているということだろう。

 

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