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経営破綻し新たなスポンサーを探す「バーニーズ ニューヨーク」に明るい未来はあるか?

Jul 18, 2019.橋本雅彦Tokyo, JP
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「バーニーズ ニューヨーク」新宿店

「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK、以下バーニーズ)」が連邦破産法の申請を含む再建策を検討していることが明らかになり、話題になっている(※8/7追記。8月6日に連邦破産法の適用を申請し経営破綻した)。しかし、同社は1996年にも連邦破産法11条(いわゆるチャプターイレブン)を申請し、その適用を受けて倒産しているのである。このときに、アメリカ国内外のかなりの店舗を閉めた。そして2004年、ジョーンズ・アパレル・グループが4億ドル(約431億円*)で買収、その後2007年にドバイ政府所有の投資会社イスティスマール社に9億4230万ドル(約1015億円*)で売却されている。このときイスティスマール社とせり合ったのが、日本のファーストリテイリングであったのは記憶に新しい。必要以上に価格がつり上がったのもファーストリテイリングが買収に参戦したためだ。

簡単に言えば、今回についても、買い手が全くつかないというのも納得できる。もう魅力がないのであろう。誰がやっても、うまくいく感じがしないのである。業績悪化は、マディソンアベニュー旗艦店の家賃高騰とかオンラインショッピングへの対応への遅れなどが挙げられているけれども、そもそも1993年にマンハッタンに本店を構えたあたりから、こうした低迷基調は延々と続いていたのである。

バーニー・プレスマンが1923年にマンハッタンの下町17丁目に開いたスーツの安売り屋が、息子のフレッド・プレスマンやジーン・プレスマンなどによって、オシャレなセレクトショップとして注目を集めるようになっていったのが「バーニーズ」の歴史だ。そのオシャレなセレクトショップを決定付けようとしたのが、1993年のマンハッタン本店であったわけだが、それが致命傷になった。要するに「バーニーズ」という名前ばかりが先行してしまって、なかなか中身のある成長は遂げられなかったということだ。こういう企業に、明るい未来を想像するのは難しい。たぶん、モノ好きな企業が買収に乗り出したとしても、その価値はせいぜい2億ドル(約215億円*)程度であろう。「バーニーズ」という商標ならば欲しいという企業はあるかもしれない。

日本では、1980年代の後半に伊勢丹と提携して、新宿、横浜、銀座などに店舗をオープンしたが、1996年の「バーニーズ」の倒産時に、伊勢丹の支払いをめぐって訴訟があり、伊勢丹側が勝訴している。そもそも、伊勢丹が「バーニーズ」と契約したのも、丸井の伊勢丹新宿店包囲網が完成しつつある時に、その「詰み」を免れるために現在のバーニーズ新宿店を押さえておこうという動機があったという説もあり、バーニーズ流のセレクトショップ運営を吸収したいという表向きの理由ではなかったらしい。

その後伊勢丹は、2006年に住友商事&東京海上キャピタル系ファンドにバーニーズ・ジャパンを売却。2013年12月に東京海上キャピタル系ファンドが所有するバーニーズジャパン株は、セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイHD)に売却された。さらに2015年には住友商事の保有株もセブン&アイHDに売却されて、現在バーニーズジャパンはセブン&アイHDの100%会社になっている。2016年には、六本木店もオープンしている。

*1ドル=107.76円換算(7月18日時点)

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