「バイマ」運営エニグモ、トラベル事業拡大の一方で営業赤字

ファッション通販サイト「バイマ（BUYMA）」を運営するエニグモは12月16日、2026年1月期の第3四半期（2〜10月）の決算を発表した。売上高は43億3000万円（前年同期比10.6％増）と増収だったものの、営業損益は6900万円の赤字（前年同期は2億8900万円の黒字）、親会社株主に帰属する四半期純損益も9700万円の赤字（同1億4600万円の黒字）となり、利益面では大きく後退した。

主力のファッションプラットフォーム事業では、「バイマ」の会員基盤は引き続き拡大している。会員数は約1185万人と前年同期比4.6％増加したが、商品総取扱高（GMV）は約334億円と前年から5.4％減少。物価高による消費マインドの鈍化や、高価格帯商品の購入に慎重な動きが影響したとみられる。この結果、同事業の売上高は36億9745万円（前年同期比1.9％減）、セグメント利益は6億8406万円（同21.8％減）と減収減益となった。

一方、成長分野として注力するトラベルプラットフォーム事業では、海外旅行需要の本格回復を追い風に「バイマトラベル（BUYMA Travel）」が大きく伸長し、売上高は6億3332万円（前年同期比326.0％増）と急拡大した。一方で、セグメント損益は2億4804万円の赤字（前年同期は8811万円の赤字）と、赤字幅が拡大している。

全体としては、売上成長を確保しながらも、利益構造の立て直しが課題として浮き彫りになった格好だ。エニグモは、「バイマ」における取扱高の回復と、トラベル事業の収益化タイミングの見極めが、今後の業績を左右するとみられる。

同社は2026年1月期の通期業績予想について、売上高65億500万円（前期比9.7％増）、営業利益3000万円（同95.8％減）、親会社株主に帰属する当期純利益3億8700万円（同10.7％減）を見込む。なお、11月には保有する投資有価証券の一部売却を完了し、特別利益として5億1400万円を計上しており、最終利益は確保できる見通しだ。

成長投資と収益改善のバランスをどう取るか。エニグモにとって、次の成長ステージに向けた正念場が続いている。