ゴールドウインは5月14日、2024年3月期の通期連結決算を発表した。売上高は1269億700万円(前年比10.3%増)、営業利益は238億4700万円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は242億8100万円(同15.7%増)と増収増益だった。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」と「ゴールドウイン(Goldwin)」の2ブランドが業績を牽引し、2期連続で最高益を更新した。
ゴールドウインは、ブランド別だった事業区分をパフォーマンス、ライフスタイル、ファッションに再定義したが、3つのカテゴリーが前年実績を上回った。特に、ファッション区分は「ザ・ノース・フェイス パープルレーベル(THE NORTH FACE Purple Label)」などがインバウンド需要を取り込み、前年比22.0%増となる109億1100万円の売上高だった。
売上高の構成比で約6割を占めるライフスタイル区分も、「ザ・ノース・フェイス」が好調で前年比11.0%増となる741億7400万円の売上高だった。パフォーマンス区分は同6.5%増の418億2000万円の売上高だった。
ゴールドウインの東京本社で開催された決算説明会に登壇した渡辺貴生社長は、「気候変動の影響を受けましたが、ブームによって売り上げを牽引するのではなく、圧倒的な独自性をもったもの作りによって、2期連続で最高益を更新することができました。実需型ビジネスモデルが着実に成果を出しています」と、好決算の理由を述べた。
ゴールドウインの2025年3月期の連結業績は、売上高は1332億円(前年比5.0%増)、営業利益は181億円(同24.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は210億円(同13.5%減)を予想している。旺盛なインバウンド需要を取り込み、前年比5%の増収を目指す。
今期は、日本国内における独占販売契約を締結した米国サンフランシスコ発ブランド「オールバーズ(allbirds)」の直営店とオンラインストアを継承し、相乗効果も期待できる。
一方で、最終利益は前年比で2桁減を想定している。従業員に対するインセンティブとして、自社の株式を給付する仕組みであるJ-ESOP(株式給付信託)に伴う追加費用や、本社移転の経費など一過性の経費が45億円増加するためだが、こうした経費を差し引くと営業利益率は17%を維持する見込みだ。
2024年3月期は、中間期配当は30円、期末配当は本社移転の記念配当10円を含む132円で、1株あたりの年間配当金は162円。今期は14期連続での増配の見通しだ。