
ゴールドウインは8月6日、2026年3月期の第1四半期決算を発表した。売上高は238億7800万円(前年同期比2.9%減)、営業利益は20億7900万円(同13.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は31億8900万円(同12.9%減)だった。
減収の主因は、2024年に事業終了した「ダンスキン(DANSKIN)」「エレッセ(ellesse)」「241(トゥー・フォー・ワン)」「ブラック&ホワイト(BLACK & WHITE)」の4ブランド。ブランド閉鎖により約6億円の売上減となり、全体業績に影響を与えた。加えて、韓国の持分法適用関連会社であるヤングワン・アウトドア(YOUNGONE OUTDOOR Corporation)において、為替の影響から持分法投資損益が前年同期比で30.3%減少となり、最終利益も2桁での減益となった。
それでも営業利益は増益を維持しており、ブランドポートフォリオの見直しやコスト構造の最適化が奏功しているといえる。ゴールドウインは高付加価値ブランドへの集中投資を進めており、2029年3月期までに売上高1885億円を目標とする中期成長戦略を掲げる。その中でも主力ブランド「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」は1280億円、自社ブランド「ゴールドウイン(Goldwin)」は200億円という個別目標を明示している。
さらに同日、ゴールドウインは従業員向けの福利厚生施策の拡充を発表。従業員持株会を活用した新たな株式給付信託制度の導入を明らかにした。この制度では、信託財産から得た収益を将来的に従業員に分配する設計となっており、人的資本の活用に向けた取り組みとして注目を集める。
また、10月1日付で1株を3株にする株式分割も予定されており、株主優待制度の新設も合わせて発表。分割後はより多くの個人投資家が株式を取得しやすくなり、株主との中長期的な関係強化を図る狙いがある。こうした一連の施策は、社員・株主という主要ステークホルダーに対する企業姿勢の表れともいえる。
2026年3月期通期の連結業績予想については、売上高1400億円(前年同期比6.2%増)、営業利益259億円(同18.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益254億円(同3.9%増)を見込む。堅調なブランド運営と戦略的なコスト管理により、持続的成長への道筋を明確にしている。
アスレジャーやアウトドア需要の継続、加えて国内外でのライフスタイルの変化を追い風に、ゴールドウインは成長軌道を維持できるかが今後の焦点だ。