
「ほぼ日手帳」などを展開するほぼ日は10月10日、2025年8月期の通期決算を発表した。売上高は86億7700万円(前年比15.2%増)、営業利益は6億1600万円(同12.7%増)、当期純利益は4億4800万円(同12.3%増)となり、売上高、経常・最終利益は前期を上回る堅調な業績を記録した。主力の「ほぼ日手帳」が国内外で引き続き高い人気を維持し、販売部数は過去最高の96万部を達成、成長を牽引した。
主力ブランドの「ほぼ日手帳」は、手帳本体だけでなく、カバーや下敷き、シール、ボールペンなどの周辺文具を積極的に拡充している。2025年版では、新作アイテム数が手帳と文具を合わせて過去最多の350点以上に達した。近年はユーザーのカスタマイズ需要が高まり、「自分仕様に仕立てる手帳」としての世界観を強化。結果として購入単価の上昇とリピーター層の拡大につながった。
また、手帳カバーでは国内外のブランドやアーティストとのコラボレーション企画を展開し、素材やデザインのバリエーションを広げてきた。こうした取り組みは海外でも高く評価されており、「ほぼ日手帳」の海外売上高は全体の半数以上を占める水準を維持している。
「ほぼ日手帳」は、スマートフォン全盛の時代にあっても「手で書く」ことの楽しさを再発見させる存在として支持を集めている。手帳を単なる「予定を書くための道具」ではなく、「生き方を書くための道具」と捉え、予定だけでなく日々の出来事や気づき、描きたいものを自由に書き込める「余白」を設けている。
アナログ回帰的な「手書き文化」、自分好みに仕立てる「カスタマイズ文化」、そして完成したページをSNSなどで発信する「共有文化」。この三つを巧みに取り込みながら、スマホ全盛時代においても「紙の魅力」を再定義している。
ほぼ日の2026年8月期の通期業績は、売上高95億円(前年比9.5%増)、営業利益6億8000万円(同10.2%増)、当期純利益4億8000万円(同7.1%増)を見込む。創業以来掲げてきた「生活の楽しみを届ける」という理念のもと、手帳という枠を超えて、「手書き文化」を広げながらさらなる成長を目指す。