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「蔦屋重三郎」並みの出版革命 noteが作り出した誰もが「自分の出版社」を持てる時代【いづも巳之助の一株コラム】

NEWOct 8, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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noteの加藤貞顕代表取締役CEO

おや? また一つ、日本のメディア業界に新しい形が生まれた。巳之助も連日お世話になっているnoteだ。10月7日に発表されたnoteの決算は、
・売上高30億4,600万円(前年同期比+23.8%)
・営業利益1億2,700万円(同+271%)
・最終利益2億1,200万円(同+344%)
と、まさに快進撃。通期見通しも上方修正し、経常利益は2.6倍、最終利益は3.3倍の見込みだ。

noteの決算書を読むと、数字以上に面白い「構造の変化」が見えてくる。それは、誰もが「自分の出版社」を持てる時代が、静かに進行している事だな。

◾️法人が支える「note pro経済圏」
いまnoteの屋台骨を支えているのは、法人向けSaaSの「note pro」だ。導入社数は1000社を突破し、ARR(年間経常収益)は6億4800万円(+23.9%)。PRTIMESのようなリリース配信ではなく、企業自身がストーリーを語り、読者に直接届ける。

企業が発信する記事が、個人の投稿と同じ場所に並ぶ。広告でもなく、IRでもなく、「企業からの語りかけ」で信頼を得る、新しいコミュニケーション方法だ。

営業利益率は25〜30%。全体の売上に占める比率はまだ15%前後だが、利益面では半分近くを稼ぎ出す。この法人層をどこまで広げられるかが、今後の成長を決めるだろう。noteはSNSではなく、企業と個人が共に発信し合う「デジタル上の楽しい広場」になっている。

◾️「書く」「売る」「届く」を一枚にまとめた構造
個人クリエイターのnote事業も順調だ。流通総額(GMV→ユーザー同士がやり取りしたお金の総額)は、55億3,700万円(+27.4%)。投稿者が書いた記事やエッセイ、コラムを、読者が1クリックで購入できる。1つのページの中に、執筆・編集・販売・決済が収まる。つまりnoteは「1人出版社」を可能にしたんだよ。

出版社がしてきた工程──企画、発信、販売を、ひとりの書き手が担えるようになった。それが成立するのは、読者の「いいね」や「応援したい」が、そのまま課金行動に変わる仕組みがあるからだ。

◾️TALESが生む「物語の第二章」
そしてnoteは、もう一つの挑戦を始めている。4月に立ち上げた新サービス「TALES」だ。ここでは小説や脚本が投稿され、人気作は朗読劇や映像作品へと発展する。朗読劇コンテストなど、IP(知的財産)としての広がりも見せている。

出版やアニメ業界が数十年かけて築いた「物語をビジネスに変える構造」を、noteはたった一年で模倣し始めた。「TALES」はまだ赤字だが、書く人の裾野が広い分、IP化のスピードは圧倒的に速い。これは、まさにかつての「蔦屋重三郎」並みの出版革命とみていいのではないかと思うな。

◾️株価と投資判断
株価は発表翌日の10月7日、1,344円(+71円・+5.6%)で引けた。年初来安値は1,020円台、高値は1,380円。つまり、いまは一段高の位置で、業績上方修正をほぼ織り込んだ水準にある。時価総額は約220億円、PERはおよそ70倍。黒字化初年度としてはやや高めだが、営業利益率が9%台へ改善した今期の勢いを考えれば、1,200〜1,250円あたりが調整後の購入適正ゾーンとみていい。中期では、法人SaaSの伸び次第で再評価余地は大きい。

巳之助は「note proの利益」と「TALESの夢」で少し迷うけど。

▶巳之助メーター 2ニョロ 監視だ 
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)
黒字2期目とTALES黒字化を確認できたら「3ニョロ」今こそ行こう!

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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