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Japan|JSTOの新津研一代表理事に緊急取材 新型コロナウイルスでインバウンドはどうなるか?

Feb 1, 2020.高村 学Tokyo, JP
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JSTOの新津研一代表理事

中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスが、日本のさまざまな産業に深刻な打撃を与え始めている。特に、インバウンドへの影響が懸念されている。2019年には959万人の中国人観光客が日本を訪れ、今年は初の1000万人超えが確実視されていただけに、今回の事態は衝撃が大きい。こうした状況を識者はどう捉えているのか。今回、ジャパンショッピングツーリズム協会(Japan Shopping Tourism Organization、略称:JSTO)の新津研一代表理事に緊急取材した。JSTOは2013年9月に設立された一般社団法人で、ショッピングを軸とした訪日観光プロモーションを手掛けている。百貨店や航空会社などが加入し、会員数は150社に及ぶ。

新津研一代表理事(以下、新津):まず、回答に先立ち、中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染拡大については、お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、罹患されている方の早い回復をお祈り申し上げます。中国政府および武漢市政府をはじめとした各国の感染防止の取組みに応援の意を表しますとともに、私たち自身も、感染拡大の阻止および事態の収束に寄与できる取り組みを模索してまいりたいと考えております。

SVT:今回の新型コロナウイルスの発生により、日本のインバウンド業界にはどのような影響・打撃があるとみていますか。
新津:現在、団体旅行のみが制限されていますが制限の更なる強化や長期化の想定が必要でしょう。中国からは、昨年3カ月間に214万人(2~4月)の訪日ゲストがあり、3,638億円(1~3月)の消費額(買物代)となっています(出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」)。影響期間は、収束までの期間について専門家も予測できない状況であり難しいところですが、3カ月で約100万人、1,300億円程度の減少(約5割減)をリスクシナリオとして見据える必要があるでしょう。収束まで時間がかかる事態になれば、さらに影響は大きくなります。

SVT:では、中国人観光客の減少を補える国・地域はありますか。
新津:訪日全体の30%を占める中国人ゲストの客数減を補うことは、簡単ではありません。韓国・台湾・香港市場での増加は難しく、現在10~30%増のトレンドにあるASEAN・欧米豪市場に期待がかかるものの、単価アップに工夫が必要でしょう。ショッピング領域に限って言えば、比較的単価の高いタイやベトナム・ロシアのお客さまをターゲットにしたいとの小売店の声が聞かれます。

SVT:JSTOの会員に対して、助言や指示をしていることはありますか。
新津:指示をすることはありませんが、各社からの問い合わせには、下記のようにアドバイスしています。
国際観光ビジネスには様々なリスクがつきものです。これまでにも、国際紛争や天変地異、為替変動によって大きな売り上げ影響を受ける事例がたくさんありました。こういったビジネス環境を前提に取り組む際には2つの心構えが必要でしょう。
1つ目は、リスクが発生することを前提とした心構えです。万が一の事故が発生した際に、仕入れや経費の変更をしうる、柔軟な計画立案が必要でしょう。2つ目は、情報発信・コミュニケーションの継続です。訪日期待が薄くなった時に、急に情報発信を中止し、コミュニケーションをやめる企業は少なくありません。これは、お客さまから見たら、都合のいい時ばかりラブコールを送り、苦しい時にいきなりそっぽを向く態度に映ってしまいます。

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