
大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロントリテイリングは10月14日、2026年3月期の中間期決算を発表した。売上高にあたる売上収益は2199億2500万円(前年同期比5.0%増)と増収となった一方、営業利益は299億7500万円(同23.9%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益は183億5400万円(同36.9%減)と大幅な減益で着地した。
百貨店事業を担う大丸・松坂屋の売上収益は1296億1200万円(前年同期比1.8%増)、営業利益は166億4900万円(同14.0%減)となった。大阪梅田店では大阪・関西万博の開幕以降、入店客が大幅に増加し売上を押し上げた。一方で、大丸心斎橋店や大丸京都店では、インバウンド需要の減少が影響し、減収となった。国内百貨店市場の地域差や観光客依存度の影響が、利益率に大きく響いた形だ。
ショッピングセンター事業では、「パルコ(PARCO)」などを展開し、売上収益は331億1400万円(前年同期比4.1%増)、営業利益は95億3800万円(同34.0%増)と増収増益となった。インバウンド需要を取り込み、店舗賃貸収入の伸長や決済手数料収入の増加が利益を押し上げた。都心型・若年層向け商業施設の好調が全体の収益に寄与している。
デベロッパー事業も好調だった。売上収益は432億9300万円(前年同期比10.8%増)、営業利益は44億5900万円(同3.4%増)と増収増益。子会社のJ.フロント建装ではラグジュアリーブランドの工事受注が増え、事業拡大につながった。一方、決済・金融事業は売上収益が66億2000万円(前年同期比2.0%増)とわずかに増加したものの、営業利益は4億2900万円(同52.3%減)と大幅な減益となった。
J.フロントリテイリングは同日、2026年3月期の通期業績予想の修正も発表した。売上収益は従来予想の4590億円から4510億円(前年比2.3%増)に下方修正。営業利益は500億円から440億円(同24.4%減)に減額され、親会社の所有者に帰属する当期利益は300億円から260億円(同37.2%減)に引き下げられた。