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Global|「ジンズ」の海外売上高が100億円超え 中国市場で躍進する「ジンズ」の戦略とは?

Nov 8, 2019.高村 学Tokyo, JP
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ジンズの宇部真記・中国代表

アイウエアブランド「ジンズ(JINS)」のグローバル化が加速している。海外店舗数は185店にまで増え、2019年8月期の海外売上高は前年比53%増の110億円と大きく躍進し、過去最高を更新した。この躍進を下支えするのが、現在144店舗を構える中国市場だ。「5000円のメガネで、世界でもっとも高い品質を保持しているのはジンズだ。それが言えなければ世界では通用しない」と語るのは、2010年に中国に初進出した時から陣頭指揮を執る宇部真記・中国代表だ。中国におけるこれまでの成長と今後の戦略について話を聞いた。

SVT:中国市場に参入した経緯を教えてください。
宇部真記・中国代表(以下、宇部):中国でビジネスを展開するかどうか、そういった議論が社内であった時に、大手家電量販店のヤマダ電機から中国・瀋陽に出店するので一緒にどうですかとお声がけをいただいたのが最初のきっかけです。当社にとって瀋陽が中国1号店であり、また海外初出店でもありました。しかし、当初は月に7万元(約107万円*)程度しか売れませんでした。日本人スタッフ2名に加えて日本で採用した中国人スタッフ6名を連れていきましたので、「これはマズいな」とその時は思いましたね。ただ、半年後に天津に出店したのですが、想定以上に売上がよく、続いて瀋陽に2店舗目を出店するとここも好調でした。

SVT:その後、2012年に上海に進出するわけですね。
宇部:そうです。2級都市の瀋陽でこのくらい売上が見込めるのなら、上海でもやってみようと思い、上海梅龍鎮伊勢丹と森ビルのショッピングモールに同時に出店しました。両店とも非常に売上が好調で、上海梅龍鎮伊勢丹はすぐに月商50万元(約765万円*)を達成しました。上海でも手応えを感じ、であれば本格的に中国市場に参入すべきだと思いました。このタイミングで私は中国の責任者として常駐するようになりました。現在、上海では40店舗ほど展開しています。

SVT:北京にはいつ進出しましたか。
宇部:上海と同じ2012年の冬です。「ソラナ(SOLANA)」という、週末には駐車場に車が入り切れない程行列ができる商業施設がありまして、そこに出店しました。北京も1店舗目から売上好調でした。

SVT:中国で売れた要因はどのようにお考えでしょうか。
宇部:当初は、日本で企画した商品と同じものをそのまま販売していました。ところが、上海店のオープニングの際に益若つばささんとコラボした商品を中国向けにオリジナルカラーで販売したところ、爆発的に売れました。「あっ、こういう趣向なんだな」と。つまり、日本のシンプルで顔に自然になじむメガネより、派手で縁が大きくて、という方が人気があり、その時に中国人のリアルなニーズを実感しました。それ以降は中国オリジナル商品をどんどん増やしていきました。現在は店頭の展開でいうと30%が中国オリジナル商品で、売上では40%ほどになっています。中国オリジナル商品は台湾や香港でも販売していますし、比較的アジア系が多いアメリカにも販売しています。

SVT:中国人のニーズに合わせてローカライズしているわけですね。
宇部:同じアジア系ですが、中国人の顔は日本人より少しだけ大きい。ほんのちょっとの差ではありますが、そこを合わせてあげるだけで、中国人のために作っていることは伝わりますし、売上も全然違います。日系企業の中には中国に進出しても自分たちが提案するトレンドを押し付けてしまうところもありますが、それでは全く通用しません。どれだけ現地に寄り添うかということが大切です。現地人に合わせていかなければ商売は成り立たないと思います。

SVT:中国でのプロモーションや宣伝はどのようなことをされていますか。
宇部:基本的にはウェイボー(Weibo)やウィーチャット(WeChat)といったSNSが中心です。オンラインでは、間違いなくSNSしか効きませんので、そこに広告を打つことが多いですね。オフラインは、店舗のオープン時に有名人を起用したイベントを開催しています。先日は、ホリプロに所属する古川雄輝くんという俳優をお招きして、トークイベントを開催しました。中国では、超がつくほどの人気で、女性のお客さまが大勢いらしてくださいました。

SVT:ジャパンブランドに対する中国人の意識はどのように感じていますか。
宇部:日系企業はきちんとしたものを作っているという認識を持っていただいているようで、そこはとてもありがたいなと思っています。メガネは特に顔に直接触れるものなので、偽物や粗悪なものは使いたくないという方が多いです。例えば、当社でいうと「ジンズ・スクリーン」は、「天猫(Tモール)」内のブルーライトカットメガネのカテゴリーでは売上がずっと1位です。ジャパンブランドであり、高品質で安心安全であることを伝え続けることで、信頼感のあるブランドとして認知されていると思います。

SVT:中国人スタッフの育成や教育にも力を入れています。
宇部:高品質な商品を提供するだけではなく、日本と同じクオリティのサービスを提供することも大切です。北京、上海、成都に研修室を作り、新しく入社したスタッフに接客や商品知識を学んでもらっています。大切なことですから、教育費がかかってしまうことは仕方ありません。商業施設内のテナントが集まって実施する接客コンクールでは、常に表彰されています。

SVT:世界で通用するブランドの定義についてはどうお考えでしょうか。
宇部:私どもでいえば、5000円で買えるメガネで「ジンズ」よりも良いものはありません。「5000円のメガネで、世界でもっとも高い品質を保持しているのはジンズだ」と、それが言えないと世界では通用しません。そういうことが言えなければグローバルブランドとして育たないですし、勝てない。世界で通用するブランドとはそういうことだと思います。スタッフにも言っていますが、お客さまに対してその点は自信を持って、しかもどの国でも言えることです。

SVT:中国市場についてはどのような見通しを持たれていますか。
宇部:今年1月から6月の半期で、消費財の成長率は平均して8.4%もありました。Eコマースに限っては22%の伸びで非常に伸びています。今までは12%や13%の成長で来ていたので、8.4%と聞いて中国の成長は終わったという報道がたまにありますが、8%はとてつもない成長率です。これまでは富裕層たちが中国市場を支えてきましたが、中間層にも広がってきています。中間層が広がり、中国の成長を底上げしてきている印象です。「ジンズ」のように中間層をメインターゲットとしているところはまだまだ伸びるとみています。中国では、不動産や投資案件に規制がかかってきていますし、細かい経済政策も実施しています。90年代に日本で起きたバブル崩壊のようなことはないと思います。中国国内には、中国の経済が鈍化しているとは思っている人はいないのではないでしょうか。

SVT:では、中国市場での今後の出店ペースについてはいかがでしょうか。
宇部:2015年から3年ほどは、年間30店舗のペースで出店してきました。ただ、最近は「ジンズ」を真似たアイウエアブランドが増えてきたため、意図的に出店ペースを落としています。ディベロッパーによっては、そういったブランドでも入店させてしまうので、「ジンズ」を真似た店がある商業施設には絶対に出店しないと決めています。そして、中国では大型のショッピングモールが流行っています。例えば、上海には日本の環七や環八のような道路で1環状、2環状とあるのですが、上海市内ではなくその外側にある大型のショッピングモールに出店するようにしています。単に、出店だけを考えればいくらでも出すことは可能ですが、300店舗くらいをめどとして、2,3年後に再び年間30店舗の出店ペースに戻すことを考えています。

それから、アイウエア市場でいうと、中国では店舗数が圧倒的に足りていません。先進国では一般的に、人口6000人に対して1店舗が成り立つと言われていますが、中国では12000人に対して1店舗しかありません。台湾は4000人に対して1店舗ありますし、日本と比べても半分しかありません。つまり、理論上は現状の2倍の店舗が出店できます。13億人という中国市場の大きさから1000店舗のポテンシャルは感じますが、一方でネット販売の伸びも著しいので、店舗数はバランスを見ながら増やしていきたいと考えています。。

SVT:中国でのECについてはいかがでしょうか。
宇部:売上比率で7.7%、昨年度の売上は74億円だったので、5,6億円はECでの売上になります。「天猫」、「京東(JD)」、小红书(RED)はすべて展開しています。売上の7割は「天猫」です。今年の「双11(ダブルイレブン、※中国最大級のショッピングカーニバル)」でも大々的なキャンペーンを実施します。昨年の「双11」は1日で8000万円ほど売れましたが、今年は1.5億円を目指しています。

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