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Japan|中国への出店も視野に、グローバル戦略を着実に進める「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」

Jun 3, 2019.高村 学Tokyo, JP
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株式会社アルビオンの小林勇介・常務取締役 国際事業本部 本部長 Photo:Manabu Takamura

今年でデビュー8年目を迎えた「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(LES MERVEILLEUSES LADURÉE)」は、インバウンドという言葉がまだ聞きなれなかったその当時から商品を買い求める外国人が列をなし、国内外で大きな注目を集めたコスメティックブランドだ。特に中国では店舗がないにも関わらず抜群の知名度と人気を誇る。現在、国内は16店舗、海外では香港、韓国、シンガポール、マレーシアの4ヶ国に6店舗、フランスに1店舗を展開する。ブランドの立ち上げから今日までその陣頭指揮を執るのが、株式会社アルビオンの常務取締役 国際事業本部 本部長の小林勇介だ。「ポール&ジョー ボーテ(PAUL&JOE BEAUTE)」、「アナスイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」を含む3ブランドを手がけ、グローバル戦略を着実に進めてきた。今回、「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」の着想からグローバル戦略について、話を聞いた。

SVT:「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」がデビューして8年になります。

常務取締役 国際事業本部 本部長 小林勇介(以下、小林)「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」は、フランスのシャンゼリゼ通りにあるパティスリー「ラデュレ」のパリ本店でマカロンが綺麗に並んでいる姿を見かけて、こんなふうに化粧品がカラフルに並んでいたらかわいいなと思い本国にコンタクトしたことが始まりでした。当初の戦略は、まず高級感と高品質に徹底的にこだわり、そして希少性とユニークさを特徴とするブランドにすることでした。そのために店舗数は限定して、国内百貨店も10店舗以内にしぼりました。「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」は、ブランドとして確固たる世界観があるところが強みですが、化粧品としての個性を引き出すことも重要です。つまり、商品開発です。ブランド名に頼るのではなく、まず化粧品として良いものを作れるか、そこが非常に重要でした。そういった戦略のなかから花びらのチークを作るという発想が浮かびまして、誕生したのが「フェイス カラー ローズ ラデュレ」です。これを作るのには試行錯誤があって、通常の開発期間は2年のところ3年以上かかりましたが、今やもっともシンボリックな定番商品になりました。

SVT:デビュー時は国内外で大きな話題になりました。

小林:「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」は、容器はあえて目立たないようにして、中身の発色の良さと開けた時の驚きにこだわって作りましたが、そういったところが諸外国のお客さまにも受け入れられたのだと思います。国内1号店は銀座三越でしたが、外国人のお客さまがたくさんお越しになられて、非常に盛り上がりました。特に中国人のお客さまがたいへん多くお越しになられました。中国ではデビュー前からインターネット上で大きな話題になっていたようですが、その当時は中国でそこまで人気だとは認識していませんでした。中国の方たちは良いものに関する情報を貪欲に探して、それを手に入れるところまでのパワーが本当にすごいなということを「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」というブランドで実感しました。

SVT:中国人の購入者にはどのような特徴がありますか。

小林:中国への発信は特にしていないのですが、情報のキャッチ能力が非常に優れていると思っています。告知することも重要ですが、私たちが自信を持って提供する商品には中国のお客さまもぱっと反応するのを実感しています。発売日にぱっと来店される。ユニークなものを出すとわっと買いにいらっしゃる。こういうリアクションは私たちにとって非常に楽しいものです。もちろんブランドの世界観を表現するお店も必要ですが、店舗数を広げることで価値があがったり売上があがっていくという時代ではありません。お客さまが情報を得て、自ら探して買いにきてくれる時代なんだなと感じています。

SVT:中国への出店はお考えでしょうか。

小林:中国における薬事に関することが整い次第ですが、出店は検討しています。現状、中国では薬事的に販売できない色が出てきてしまう。そうするとフルラインアップで見せられないので、ブランドの世界観も伝えにくい。だから、まずは全商品を展開できる香港から始めて、その次に免税店に出店し、その後に中国本土に進めていこうという戦略プランだったので、その通り順調に進んでいます。すでに「Tモール国際(天猫国際)」では試験的に販売を始めています。

SVT:国内外の売上比率はいかがでしょうか。

小林:国内では、25%が中国人ですが、最近では日本人のお客さまも増えてきています。韓国のロッテ免税店だと90%は中国人です。2年前に韓国に出店した時は、日本でのデビュー時と同じくらい多くの中国人のお客さまで大行列ができました。中国人のお客さまからの支持はもっともっと増えていくだろうなと感じています。

SVT:J-beautyがトレンドとして注目されていますが、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

小林:もともと「メイドイン・ジャパン」に対する信頼があったと思います。「ソニー(SONY)」を始めとする日本製の電化製品は壊れないという“もの作り神話”がありました。それが今、化粧品にもきているのだとみています。日本製の化粧品ということで、まずは品質の良さ。特にヨーロッパからみてファーイーストの日本はよくわからない国と思われていましたが、品質の良さや安心感が受け入れられているのかなと思います。それから、スキンケアに対する意識が以前に比べどんどん増してきているので、欧米だけじゃなく日本のブランドも入っていけるようになったのだと思います。

先ほど申し上げたように、シャンゼリゼ通りにあるパリ本店でこういった化粧品があったらいいなと考えていた時、実はパリのラデュレ社も化粧品は日本の会社に作って欲しいということを意識されていたそうです。ですから、お互いがちょうど同じタイミングで同じことを考えていました。限られた店舗で良いものだけをお客さまに紹介していくという意識がもともと彼らには強く、日本的な発想を持たれていました。J-beautyという言葉がなかった時代から、こうした確固たる日本のもの作りの姿勢が必ず世界的なブームになっていくという考えを彼らは持っていました。

SVT:ジャパンブランドへの信頼ですね。

小林:そうです。私どもは、会社創立からメイドイン・ジャパンにこだわってきました。ですから、今まで海外で作ろうと思ったことは一度もありません。会社の歴史上もメイドイン・ジャパンは大切に引き継いでいます。ラグジュアリーなコスメブランドをメイドイン・ジャパンで堂々と作ろうと思って始めたのが、この「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」なのです。

SVT:世界的に認められるブランドになるためにはなにが重要でしょうか。

小林:これからは当然、ものの大切さはブランドにとって重要になるだろうと思います。ストーリーも重要かもしれませんが、いかにひとつひとつの商品で個性を出せるかが重要です。お客さまはひとつひとつのものを見ているのだとつくづく感じています。そして、歴史も重要です。ブランドの歴史がひとつひとつの商品にいかに反映されているか。ブランドはあとからついてくるもので、それだけではもはや成り立たない。ブランドはお客さまにとって雲の上の存在ではいけないですし、ブランドを押し付けてもいけません、お客さまともっと近い存在でないといけないと思っています。そういう商品や環境をこれからも作っていきたいと思います。

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