
カナダ・バンクーバー発の高機能アスレチックブランド「ルルレモン(lululemon)」を展開するルルレモン・アスレティカ(lululemon athletica)は9月4日、2025年度の中間期決算を発表した。売上高は48億9587万ドル(約7245億円*)で前年同期比6.9%増だったものの、営業利益は9億6243万ドル(約1424億円、同1.1%減)、中間純利益は6億8547万ドル(約1014億円、同4.1%減)と増収減益だった。
同社は、米国の通商政策による逆風に直面している。トランプ政権下で再強化された輸入関税の引き上げや、200ドル以下の少額輸入品に適用されていた「デミミニス関税免除制度」の撤廃により、粗利益が年間で約2億4000万ドル(約355億円)減少する見込みだ。生産拠点の一部を中国やアジア地域に依存していることから、コスト増加は避けられず、利益率の悪化を招いている。
こうした状況を踏まえ、ルルレモン・アスレティカは通期の売上高予想を下方修正。従来は111億5000万〜113億ドルとしていたが、108億5000万〜110億ドルへと引き下げた。株主還元策として自社株買いを実施し、110万株を総額2億7850万ドル(約412億円)で買い戻すなどするものの、市場の反応は冷ややかで、決算発表後の引け後取引で株価は最大16%近く急落した。
店舗数は8月3日時点で世界784店舗となり、前年同期から14店舗増加した。北米市場を中心にアジアでも出店を拡大しているが、在庫は前年同期比21%増の17億ドル(約2516億円)に達し、需要の伸びを上回る水準に積み上がっている。過剰在庫は値引き販売を余儀なくさせ、さらなる利益圧迫につながる懸念がある。
ルルレモン・アスレティカは1998年にカナダ・バンクーバーで創業し、ヨガウェアを軸に急成長。独自素材の開発やコミュニティマーケティングを武器に、アスレジャーの世界的ブームを牽引してきた。現在はメンズ市場やシューズ事業にも進出し、ブランドの多角化を進めているが、米国市場の需要減速や関税によるコスト増など外部環境の変化が成長戦略に影を落としている。
増収を確保した一方で利益率が低下し、株価も急落した今回の決算は、「ルルレモン」がグローバルブランドとして次の成長段階に進むために直面する課題を浮き彫りにした。今後、いかに外部リスクを克服し、持続的な成長を描けるかに注目が集まる。
*1ドル=148円換算(9月5日時点)