講談社は増収減益、集英社は減収減益、小学館は2年連続の赤字(当期損失)を計上することになった。光文社は7期ぶりの赤字決算で、ある意味惨憺たる結果になっている。これが今の日本の出版界の大きな趨勢を表わしているということができるだろう。大手4社については特にデジタル化への素早い対応ができていないこともあるが、書籍についてはAmazonの猛攻に屈しているし、デジタル化が寄与するような社内体制になっていないということが言えるのではないか。
プリントパブリッシングについてはとにかくデジタル化への対応の遅れがこういった厳しい決算の原因になっている。大手出版社は印刷媒体が事業のかなりの割合を占めているからデジタルに簡単に移行することができない。しかし例えば小学館や光文社で赤字が出ているように、経営者も紙の時代ではないことは認識しているが、紙を簡単に辞めるわけには行かず、低速でデジタルへと移行しているのが実情。その間にデジタルのみのメディアが出現し、成長してきており読者を取られている。デジタル化へのスピードアップがビッグ3+光文社の課題だろう。
一方、CCC(TSUTAYA)がM&Aを中心に活発な動きを見せている。ここ数年間で買収した出版社は以下の通り。
ネコパブリッシング(2012年)
阪急コミュニケーション(PEN、Figaroのみ)(2014年)
美術手帖(2015年)
徳間書店(2017年3月)
主婦の友社(2017年12月)
同社の増田宗昭社長が一体なんの目的でこうした出版社の買収を続けているかについては、「顧客を幸せにするには店の提案力が重要。ネットが普及した今、独自の商品をそろえるのが重要だ。外部の企業には情報を提供しにくい。グループに入ってもらって一緒にやるということ」(日経2017年12月15日)と語っている。
特に驚いたのは主婦の友社買収である。主婦の友社は1916年創業の歴史ある名門出版社であり、また売上高も86億円あった(昨年3月期)。ここを買収したことでCCCが総合出版社を目指しているのがはっきりしており、すでに書店やレンタルDVD屋ではないことは明らかだ。はっきり言って、旧タイプの出版社ではなくて新しい出版社を作って行こうという意欲の感じられる買収である。これからどのような新手が出るかはお手並み拝見だ。