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市場規模2兆円超え、ビッグサイズ需要を開拓する「ノードストローム」のサイズ戦略

Jun 7, 2018.セブツー編集部Tokyo, JP
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米百貨店の「Nortstrom(ノードストローム)」がサイズ範囲の拡大を進めている。同社のウィメンズアパレル部門のトリシア・スミス(Tricia Smith)副社長の発言によると、今後2年間で全ての取り扱いブランドでサイズ00から24*を提供することを目指すという。

具体的には自社のチャネルで積極的にウィメンズの異なるサイズと体型に対応する販売戦略を展開し、実店舗とオンライン両方でサイズの表記方法を変更、国内30店舗でサイズ2とサイズ12のマネキンを用意するなどの施策を実施。さらにサイズの拡大を知らせるサイネージを設け、従来よりも多くのブランドが幅広いサイズを提供していることを来店客にアピールする。サイズが2から12までのブランドにはサイズ00、0、12、14の追加を要請し、既に「Rag&Born(ラグ&ボーン)」や「NIKE(ナイキ)」「adidas(アディダス)」「Rebecca Taylor(レベッカ・テイラー)」や「Theory(セオリー)」などのブランドがサイズを追加した。

オンラインでは“Vanity sizing”(虚栄サイズ)と呼ばれる、ブランドが“実際よりも細いサイズを着ているような満足感”を演出するために設定しているサイズ表記をなくす取り組みも強化。購入する製品のサイズが表記上のサイズよりも大きいという事象が起きないよう、サイズ検索では、各ブランド独自のサイズ設定を横断して、自分に最も近いサイズの商品が表示される仕組みを取り入れる。限られたサイズしか用意しないブランドはこれらの施策の対象からはずされ、ストアデザインやオンライン情報がアップデートされない。つまりサイズ拡大のムーブメントに参加しないことはNordstromでの露出が減ることを意味するNordstromがサイズ拡大の先に見据えるのは、220億ドル(約2兆3320億円)の市場規模があり、年6%増で成長している**というビッグサイズファッション市場だ。同社はサイズ戦略を推進して以降、サイズ14、16、そして18の在庫が不足しているという。これはプラスサイズの需要を顕著に表していて、プラスサイズの顧客層がベーシックなアイテムを日常的に手に入れられる環境が整えば、次はトレンドアイテムの需要が出てくる可能性は十分に考えられる。サイズ拡大はファッション好きを増やすきっかけにもなり得る。

2016年のクロエ・カーダシアン(Khloé Kardashian)と共同設立したデニムブランド「Good American(グッドアメリカン)」のローンチ時、当時ブランドが幅広いサイズの需要を重要視し、00から24まで全てのサイズを仕入れたことが同社がサイズ拡大に舵を切ったきっかけだ。需要や素材、デザイン技術がないことを理由にサイズ拡大に踏み切らないブランドも、既存の顧客の需要増が見込めない中でプラスサイズ市場を無視することはできないだろう。

  • 真実 稔

    真実 稔

    ファッション気象予報士

    アメリカやヨーロッパは、返品が当たり前なので日本やアジアほど服のサイズに興味がないんですよ。そこにノードストロームが切り込んだ。精度の高い気象衛星を打ち上げたも同然で、これでサイズにアメリカ人が敏感になったら、こりゃ日本のアパレルに利があるかも。

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