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巨額赤字のスパイバーに一筋の蜘蛛の糸 孫正義氏の長女・川名麻耶氏が事業支援へ

NEWDec 24, 2025.セブツー編集部Tokyo, JP
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バイオ素材の開発を行うスパイバーは12月23日、ソフトバンクグループの会長兼社長の孫正義氏の長女でBOLD(東京都渋谷区)の代表の川名麻耶氏と事業支援に関する契約を締結したと発表した。

スパイバーは2007年設立のスタートアップで、創業者の関山和秀氏と菅原潤一氏が慶應義塾大学先端生命科学研究所で進めていたクモ糸の人工合成研究を起点に事業化。構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」を独自開発し、環境負荷を抑えた次世代のサステナブル素材として注目を集めてきた。

2023年には「ゴールドウイン(GOLDWIN)」や「ナナミカ(nanamica)」「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ウールリッチ(WOOLRICH)」などが同素材を採用した製品を発売。同社は生産工場を設立するなど量産化に向けた体制作りを進めてきた。一方で、2024年12月期の決算では営業収益が4億1400万円にとどまり、最終損益は295億円の赤字を計上。さらに、362億円の借入金の返済期限が12月末に迫るなど、財務面で厳しい局面に直面していた。

今回、スパイバーへの支援を表明した川名麻耶氏は、慶應義塾大学を卒業した後、2004年にゴールドマン・サックス証券に入社。ビジネス・ブレークスルー(現Aoba-BBT)などを経て、2019年12月にブランディングと投資を行うBOLDを設立。川名氏はスパイバーへの事業支援を決めた背景について、「日本を代表し世界を変える可能性のある技術は『長期的に支えて育てていくべきである』という使命感と同時に、私自身が長年抱いてきたファッション産業のイノベーション構想との高い親和性があります」と語っている。

川名氏は所定の条件が満たされれば、2026年上半期を目途にスパイバーを支援するとしている。資金繰りと事業継続が注目される中、今回の支援は、スパイバーの再建と成長戦略にどのような影響を与えるのか、今後の動向が注目される。

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