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Japan|【全文掲載】ZOZO前社長となった前澤友作が退任会見 孫正義も登壇 涙ぐむ場面も

Sep 12, 2019.高村 学Tokyo, JP
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2019年9月12日付けで株式会社ZOZOの代表取締役と取締役を退任した前澤友作氏が、同日夕方から都内で記者会見を開いた。会見には、今回のヤフー社との資本業務提携契約締結に至る大きなきっかけになったソフトバンク・グループの孫正義・代表取締役会長兼社長も登壇した。前澤・前社長は、ZOZO社員への感謝を述べる際に言葉を詰まらせる場面もあった。20分ほどにわたった前澤・前社長の退任会見での発言を全文掲載する。

-------以下、前澤友作・前社長の発言-------

 まず、改めまして株式会社ZOZO前社長であります前澤でございます。ついに前社長ということになってしまいまして、今日の資本業務提携契約の締結と同時に私の辞任も発表させて頂きました。まず、今回の資本業務提携契約締結につきましては、ヤフーさんと当社はものすごく素晴らしいシナジー効果のある提携になるのではないかと僕自身、自信を持って進めてまいりました。当然、ZOZO社の経営陣も全員賛成、ヤフー社の経営陣も全員賛成でこれからどんなことができるのか、どんな効果が成せるか、そして共にどうやって成長していけるかという非常に楽しみが多くあります。詳細は控えさせて頂きますが、今後いろいろな業務提携を想定してますので楽しみにお待ち頂ければと思います。僕自身としては、21年間ZOZO社の社長業を務めさせて頂きましたけど、最後の最後で一番大きな決断をできたことをたいへん嬉しく思うと同時に、当社とヤフーさんの成長を心から願うばかりです。

8:45に開示させてもらってから、ネット上はいろいろ見ました。素晴らしいシナジー効果がありそうな提携だねとか、ものすごい良いパートナーシップだね、まるで結婚みたいじゃんとか、いろいろポジティブな意見が散見されて嬉しく思います。ちなみに、前澤社長の言動は本当に不満だったから辞めてもらって清々したなという応援コメントも頂きました。それはいいとしまして、先ほど澤田からもありましたが、新経営陣に体制がZOZO社は変わるわけですが、そこも簡単に触れさせて頂きます。澤田から前澤のやり方はトップダウン、ワンマン経営だったんじゃないという指摘がありました。自分自身も実はそう思うふしがありまして、この21年間、自分の好きなことを仕事にという思いで、ひたむきに突っ走ってきました。社会に出て就職した経験もなければ、もちろん社長になったこともないですし、MBAだとか難しいような勉強をしたわけではありません。好きなことを突き詰めてやっていたら、気付いたら社長になってて、気付いたら多くのお客様、多くの取引先様、そしてなんと、多くの株主様に応援して頂ける上場までしてしまったと。

この21年間、いろいろありましたけれども、本当に夢のような時間を過ごさせていただきました。ここにきてZOZO社はいくつか課題があったんだと思います。特にこれからも成長をしていくうえで、ファッション好きの皆さまだけではなくて、あらゆる皆さまに届けるサービスにしていかなくてはいけないような局面を迎えていたんだと思います。そういった意味で、ヤフーさんとの今回の提携によってZOZO社の未来というのは大きく開かれるものと思います。同時にヤフー社から見ても、ファッション領域は苦手だなとか、少し若い方たちがヤフーを見てくれているのかなという課題もありました。そういった意味でお互いの弱点を補いあい、そしてお互いの強いところを伸ばしあえるような、本当に結婚のような提携になるのではないかと。独身の僕が偉そうに失礼します(笑)。

そして、僕の経営手法というのは、感性に基づく経営手法をとっていました。時代の香りといいますか、匂い、みなさんの動きや考え方、雰囲気。そういったものを直感的にかつ野生的に感じ取り、それを経営にいかせないかという経営手法をとってきました。ですので、時には読み違えたり、自分が調子が悪いときに失敗を犯してしまったり。いくつかそういったこともあったかと反省しております。そういった意味で、澤田新社長はその感性的な経営とはある意味、真逆の経営手法をとっていける新社長ではないかなと思っています。感性的経営の真逆、なんでしょう。ロジカルな経営とでもいうんでしょうか。データや繰り返し行うテストに基づいて弾き出される機械的、ロジカルな経営戦略、そして手法を澤田は得意としています。逆に言うと、感性の部分を澤田を助ける形で現場のファッションが大好きなスタッフが補っていかないといけないと思うんですけれども、澤田からもありました通り、チームワーク、総合力が今後ZOZO社に問われると思っています。

逆に言うとですね、そういったチーム力や総合力というのを自分自身活かしきれていなかったんじゃないかと思うところがあります。それはなぜなら、ワンマンであり、自分がこう思うんだったらこうやってよというようなスタイルでやってきたので、現場の権限や裁量を十分に与えられてこなかったようなこともありました。そういった意味で、ZOZO社はいろんな課題に直面している今、経営の考え方、体制が抜本的に変わるべきタイミングだったと思います。そうしたタイミングでヤフー社とのご縁に恵まれ、澤田社長率いる新体制でZOZO社が新しいスタートを切れることを僕は心から応援したいと思っています。

そして、個人的な話で大変恐縮ですが、僕自身、多趣味でZOZO社の経営以外のこともやっていました。なかでも、みなさんにすでにお話しているとおり宇宙に行きたいぞと発表させていただいています。具体的に言うと2023年に月への渡航を計画していまして、今、順調に準備が進んでいます。実は月の渡航以外にも、もう一回、僕は宇宙に行くことに実はなっていまして、それは改めて追ってみなさんにご報告するんですけど。まず、個人的な理由として、宇宙にどうしても行きたいということで、そちらの準備ですとか、宇宙に行くためのトレーニングですとか、そういったことに時間を割くことが多くなる関係で、今回すっきり辞任とさせていただくことになりました。

あと2点目として個人的にもう一個やりたいことがありまして、事業をやりたいです。21年前にZOZO、旧社名のスタートトゥデイですけれども、自宅の六畳一間で創業しました。両親に文句を言われ、一時家中がCDやレコードや洋服であふれるようなこともありました。ただ、その時、自分の手でゼロから一つの事業を作り上げた実感というか、体験が感動だったのを覚えていて。あの時の感動をもう一度ということで、またどっかの時点で。まだ何をするかも決まってもいませんけど。もう一度ゼロから事業を作って挑戦したいという思いもあります。

そういったことで経営戦略上、新体制にZOZO社が移行すべきだという考え方、恐縮ですけれども、僕の個人的に成し遂げたい夢、宇宙だったり事業だったり、そういったことを理由に、今回辞任させていただくことになりました。1998年5月21日に当社創立されてますけれども、約21年間、たくさんの方に応援いただき、ここまで来れました。特に名もなきころから、最初は音楽CDの通販から始まったわけですけれども、そういった時代から応援してくださった、買ってくださっているお客様には改めてこの場でお借りして御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。

そして、現在「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」に7000近いブランドさんが商品を供給してくださっています。取り引き様においては、今日の発表で大変ご不安に思われているかと思うんですけど、間違いなくZOZO社は新しくスタートを切り、これから飛躍的に成長を遂げて皆さまのお役にたてると自信をもって言えると思います。これからも引き続きよろしくお願いします。そして、僕自身21年間、お取引様にお世話になったことに御礼申し上げます。ありがとうございます。

そして2007年、東京証券取引所のマザーズに上場させていただきました。それを機会に、株主という新しい支援をいただける方々にも恵まれ、ここまで育てていただきました。一時は時価総額1兆円を超え、大変ありがたく我々も感動した次第です。今はいったん株は落ち着いていますけど、また、新ZOZO社がきっとそのあたりをまた再度マークしてもらえるのではないかと応援している次第です。株主のみなさまにおかれましても、大変ありがとうございます。21年間お世話になりました。

そして最後に、今日8時45分に発表を受けて社内は騒然としました....(言葉に詰まる)。業務提携はわかりましたと。ヤフーさんは素晴らしいパートナーだねと思っていると思います。社員、スタッフたちのことです。ただ、僕が辞めるとはみんな予想していなかったようで、非常に驚きの声があがっていました。この会見が終わった後に、社員を集めて僕から改めてまた話をすることになっていますけれども、ひとまずこの場では社員に対してのメッセージを発信させてください。21年間....(言葉に詰まる)。すみません、フラッシュがすごいまぶしい。本当に至らぬ僕を必至に支えてもらい、必至についてきてくださり、時には泣き、笑い、楽しく。ともに....、やばい。社員には後で伝えることにして、すみません失礼しました。本当に21年間ありがとうございました。

今日は実は最後にスペシャルゲストをお呼びしています。今回のヤフー社との提携にあたって、大きなきっかけになったお一人を紹介させていただければと思います。例えば、何かのインタビューで尊敬している社長を聞かれると、必ずその方の名前をあげてきました。公私ともにお世話になっておりまして、一緒にゴルフをしたこともあります。一緒にお風呂に入ったこともあります。一緒にカラオケをしたこともあります。本当に心から尊敬する偉大なビジョナリーであり経営者であります、ソフトバンクの孫さんを紹介させていただければと思います。孫さん、ぜひご登壇いただければと思います。

孫正義:なんか漫才のコンビのようだね。こんなぴちぴちのチノパン履いたの何十年ぶりだろう。

前澤友作:社長はZOZOのプライベートブランドのセットを組み合させていただきました。

孫正義:宣伝しろと?

前澤:そういうことです(笑)

孫:前から親しくさせていただいていて。「相談にのってください」ということで、「何?」って聞いたら、「新しい人生をもう一度過ごしたいんだ」という話でありました。「えっ、どういうこと?」と聞いたら、「月に行く」と。「え、どういうこと?」と聞いたら、「ZOZOの社長は引退して、新しい人生を過ごしたいんだ」と。「会社どうすんの?」といったところで「そこが相談なんです」と。話を聞いているうちに、「そうか、ヤフーとZOZOで何か提携してやってみるかね」という話を二人でして、「そうだ、それがいい、ぜひそうしたい」と。一緒に力を合わせて第二の飛躍をするようにやっていきたいと。資本提携して、今回はTOBという形になったわけですけど、しかし文化の違う会社が二つ一緒になってやるっていうのが、「株式は譲渡するとか業務提携するとかして、当分前澤くんが社長やったほうがいいんじゃない?」と言ったんですけど、「僕はスパッと新しい人生に行きたいんです」と。「月に行くのがそんなに忙しいの?」と、僕も言ったんですけど(笑)。訓練もしなければいけないし、彼女とも楽しく生きたいし(笑)。僕は羨ましい限りで(笑)。結局、僕も彼も創業者ですけど、生き様が格好いいですよね。自由奔放で。ツイッターみてても言いたい放題書いていますしね。

前澤:社長も一時そうでしたよね(笑)。

孫:ぼくもそうだね(笑)。でも、それはやっぱり彼の生き様で格好いい。ZOZOを始める前まで彼はロックバンドだった。「いまだにロッカーだよね」と言ったら「そうなんです」と。格好いい楽しい人生を過ごしていたいんだと。そういう意味では分からないでもない。非常によく分かる。月に飛んでいく人と、足が地についている人と、先ほど澤田社長からそういう話がありましたけど、そういう役割分担だったと思うけど、ヤフーもZOZOも両方とも強みとか、シナジー効果っていうのは、ヤフーの川邊社長から詳しい話がありましたので、重複して話しませんけど、両者が精いっぱいやってくれると思います。最近ね、親子上場とか孫とか批判も多いけどね。またさらに批判が出そうですけども。ヤフージャパンの川邊社長には「とにかく俺はあんまり口出ししないから。いろいろ言うとまた忖度経営とか言われるから。お前たちで好きにやってくれよ」ということであります。私はとにかく友人としての前澤くんから相談があったので、「それではヤフージャパンとZOZOの両方でシナジーがあって、何かうまくいく話があれば、当事者同士でうまくやってください」ということでありました。前澤くんとはこれからも楽しい友人関係を続けてきたいと思います。本当にご苦労様でした。

前澤:ありがとうございます。本当にありがとうございます。ちなみに、月にお誘いしたら、即答で「行かない」と言われました(笑)

孫:怖いもんだって(笑)。ちゃんと帰ってきてよ。安全第一で。

前澤:社長、最後に。21年間本当に大事に大事にスタートトゥデイ、ZOZO社を育ててきましたので。みんな今すごい気合入っていますけど、どうかどうか大切に、より発展するようにヤフーさんソフトバンクさんに育てていただければと。よろしくお願いいたします。

孫:仕事のことは彼らがやってくれると思いますが、これからも楽しい人生を目指していきましょう。

以上。

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