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債務超過のタカキューはこれからどうなる?

May 31, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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上場企業が上場廃止になるのは、時価総額(東京証券取引所プライム100億円以上、同スタンダード10億円以上)、流通株式数、株主数などの条件で基準を満たせない場合である。そして何よりも債務超過(賃借対照表において負債の額が資産の額を上回っている状態)の企業は、1年以内にその状態を解消できない場合は上場廃止になる。

既報のように東証スタンダードに上場しているタカキューは2022年2月期決算で債務超過に陥り、2024年2月29日までにこれを解消できなければ上場廃止になる。

ここ6年間の同社の売上高、営業利益、経常利益、当期純利益の推移を見てみた(1億円以下切り捨て)。

 ・2017年2月期:240億円/3億円/6億円/1億円
 ・2018年2月期:261億円/6億円/3億円/5千万円
 ・2019年2月期:249億円/-16億円/-13億円/-20億円
 ・2020年2月期:223億円/-4億円/-2億円/-10億円
 ・2021年2月期:146億円/-34億円/-31億円/-31億円
 ・2022年2月期:121億円/-1億円/-21億円/-19億円

これはかなり厳しい。この5年で売り上げは半減している。さらにコロナ禍が始まる前の2019年2月期からすでに赤字決算が始まっているのが注目される。それも含め4期連続の赤字決算が続いている。これでは債務超過になるのも肯ける。2016年2月期からの自己資本比率については、60.2%→56.8%→57.4%→45.5%→39.1%→14.5%→−10,9%と急落している。特にこの2年はコロナによってメタメタにされたという感じである。タカキューは、上場維持のためにさらに黒字確保の見通しがたちにくい店舗の撤退を検討し、資本増強を考えていくとしている。

一般に上場企業の上場維持コストは、年間5000万〜1億円と言われている。大手会計事務所による月次決算をベースにした四半期決算の開示、社外取締役の雇用、IR及び広報スタッフなどなど。さらに「社長に是非御挨拶してお知らせしたいことがありまして」と尋ねて来るその筋の人々との対応などにも必要なコストが要ると聞く。失礼ながら、タカキューの場合上場維持することがリクルートに役立ったり、知名度・信用力の向上につながることはあまりないように思われる。思い切って上場廃止してはどうなのだろうかとも思うのだが、これはこれで難しい。現在タカキューの株価は93円で時価総額は約23億円だ。上場廃止にもそれなりの金がかかるのである。買収してくれる企業があればそれが一番いいが、この4年で売り上げ半減、4年連続赤字の債務超過のメンズ専門店を買収しようなどという奇特な金持ちがいるとはとても思えない。幸いなことにタカキューにはイオンという大株主(33.23%保有)がいるから上場廃止などという事態になるとは思えないが、いつまでもイオンが面倒を見てくれると思ったら大間違いだ。このタカキューという企業が今後どんな道を歩んでいくのかたいへん興味深い。

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