2025年秋冬コレクションは、1970年代のヴィンテージスポーツウェアのエッセンスをベースにしながら、機能美を追求したミリタリーウェアの構築的な要素を取り入れているのが特徴だ。グリーンやブラウンといったアースカラーを基調に、ブランドの代名詞ともいえるダウンジャケットやダウンベストを展開。さらに、近年人気を集めるボアコレクションなどは、アウトドアの雰囲気と都会的な洗練を兼ね備えた仕上がりとなっている。
従来のダウンウェアは機能性や保温性を重視するあまりデザイン面での幅が限られていたが、「タトラス」はそこにモダンでグラフィカルな要素を取り込み、日常的なスタイリングにも取り入れやすいアイテムとして提案する。例えば、光沢感を抑えたマットな質感のダウンはビジネスシーンでも着用可能であり、カジュアルからフォーマルまで幅広い場面に対応するのが強みだ。
新店舗の役割とブランド戦略
新たにオープンする福岡、広島、仙台の各店舗は、それぞれの地域で初めての常設拠点となる。「タトラス」にとっては単なる店舗拡大ではなく、「地方の主要都市でブランドを根付かせる」ための布石だ。特に冬の寒さが厳しい東北エリアへの進出は、ダウンブランドとしての実力を発揮する絶好の場になるとみられる。
さらに今回の出店は、全国的なインバウンド需要の回復も追い風になる。福岡や広島はアジアからの観光客が多く訪れる地域であり、「タトラス」が持つラグジュアリーと実用性を兼ね備えたアイテムは、海外からの購買層にもアピールできるだろう。
2025年秋冬は、ヴィンテージとミリタリーを融合した新しい解釈のコレクションを武器に、国内外での存在感をさらに高めていく方針だ。新店舗の展開を機に、全国規模での顧客基盤を固め、ラグジュアリーダウン市場における地位を一層強固にしていきそうだ。