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ロシア対応で一転した「ユニクロ」の問題点は何か?

Mar 12, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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営業の一時停止を決定した「ユニクロ」のロシアの店舗

ロシアで「ユニクロ(UNIQLO)」を50店展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、ロシアでの営業を「戦争は絶対にいけない。あらゆる国が反対すべき。しかしアップルなどの情報産業と異なり、衣服は生活の必需品。ロシアの人々も同様に生活する権利がある」と3月2日の時点では発言していた。だがこれが報じられると、SNSなどを通じて国内外から批判が噴出。これを受けて同社は方針を転換し、3月10日付でファーストリテイリングは「ロシア事業の一時停止を決定したことをお知らせします」と同社HPのIRニュースに掲載した。「ロシアにおいても、私たちの使命の一環として、これまでユニクロの日常着を一般の人々に提供してきました。しかしながら、現在の紛争を取り巻く状況の変化や営業を継続する上でのさまざまな困難から、事業を一時停止する判断にいたったものです」。非常に苦しい方針転換に思える。「アップル」ではなくとも「ザラ(ZARA)」だって「H&M」だってロシアでの営業を停止していたのだから、最初から営業停止していればよかったものをと思わずにはいられない。明らかに判断ミスであろう。最近では、中国・新疆ウイグル自治区産品の輸入規制に違反したとして2021年1月、米国で「ユニクロ」のシャツの輸入を差し止められる事件があったが、この新疆綿の使用についての対応でも中国政府およびいまや日本(810店舗:2021年8月期)に迫る巨大市場になっている中国市場(832店舗、香港31店舗、台湾69店舗:2021年8月期)を忖度したと思われる優柔不断の対応が常に感じられたものである。現在はトレーサビリティを徹底していて、そうした強制労働のない工場で生産されたものしか販売しないということにはなっているが、どうも歯切れが悪い。

今回のロシアでの当初の対応にしても、中国への忖度がかなり働いていたのではないかという見方がある。さすがに残虐なロシアの侵攻に対して全世界が「NO!」という反応を示している現状では、中国への忖度どころではなくなったということだろう。

いずれにしても、こうした世界情勢について、日本を代表するグローバル企業であるファーストリテイリングの判断ミスは気になるところである。国際情勢分析についてのそれなりのアドバイザーは雇っているのだろうが、こうした最終判断はスーパーCEOである柳井正会長兼社長がするわけで、今年2月7日に73歳の誕生日を迎えた柳井会長にこうした重責をひとり担わせるのはどうかという議論も起きそうではある。

 

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