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今そこにある危機、ユナイテッドアローズは本当に大丈夫なのか!?

May 28, 2021.三浦彰Tokyo, JP
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PHOTO:SEVENTIE TWO

ユナイテッドアローズ(以下UA)の株価が冴えない。5月10日の終値は2015円だったが、その日に場が終わった後に行った決算発表後、翌日から株価は3日間で約15%急落して1700円台まで突っ込むという事態になった。その後小康状態にはあるが、2000円台への戻りはかなり難しい感じになっている。2016年1月29日には5790円の史上最高値をマークした頃に比べると、3分の1以下の水準である。4月1日には新社長が就任したUAに一体、何が起こっているのか?

5月10日に発表になったユナイテッドアローズの2021年3月期連結決算(2020年4月1日〜2021年3月31日)は惨憺たるもので、これがセレクトショップ業界の最大手企業の内容なのかと目を疑うものだった。
・売上高:1217億1200万円(前年比−22.7%)
・営業利益:−66億1300万円(前年87億5800万円の黒字)
・経常利益:−48億7800万円(前年88億300万円の黒字)
・親会社株主に帰属する当期純利益:−71億9700万円(前年35億2200万円の黒字)

コロナ禍にあって、売上高の減収幅が22.7%というのは理解できるが、それでもなんとか黒字をキープするのがAクラスの企業というものだが、営業赤字が66億1300万円というのは経営危機と言ってもいいような水準である。言ってみれば、百貨店に依存してどん底にあえぐ大手アパレルメーカー並みの最悪決算であろう。さらに驚くのが前年3月決算時に420億円あった純資産が298億円まで122億円も減少していることである。

ちょっとばかりオシャレな男女の支持を得て百貨店ではなくショッピングセンターでの大規模売り場を展開して、大手アパレルの売り上げを奪取することで2000年代に成長を続けて来たユナイテッドアローズに何かが起こっているのではないか。

その決算発表に先駆け、UAでは3月26日に社長交代が発表された。竹田光広社長が4月1日付けで退任し、同日付けで松崎善則副社長が社長に就任した。松崎氏は1974年2月22日生まれの47歳。ホテルマンからアルバイトとしてユナイテッドアローズに加わり、98年に入社し、店長、販売部、ビューティ&ユース本部本部長など販売部門をメインに歩んできた。いわゆる「叩き上げ」である。見るからに温厚で面倒見のよさそうな人物で、「今の経営危機にUAはこんな人物を選ぶのか」と思わせた。

退任する竹田氏は兼松繊維(後のフォワード・アパレル・トレーディングで今月自主廃業を発表)の欧米輸入製品部部長から1986年にUA入りし2012年4月に社長に就任していた。6月28日には現任の取締役相談役も退任する予定だ。任期9年は任期途中での社長退任で、また本来なら会長職として社長をサポートするものだが、恐らく6月28日には退社することになるだろう。ある意味では今回の大赤字の責任をとった「解任」という見方すらできる。なお6月28日に退任する取締役には、コーエン事業担当の藤澤光徳専務執行役員、中井陽子財務・IR・IT担当前常務執行役員の2人もいる。

今回の松崎新社長の最大のミッションは2022年3月期の黒字化であるが、この1年で今回の66億円の営業赤字を払拭することができるとはとても思えないのだが、どうなのだろう。

今回の一連の人事は、創業社長の重松理(しげまつおさむ/1949年12月4日生まれ71歳)現名誉会長の主導で行われたものだと思う。重松氏は2004年に代表取締役会長に退き、岩城哲哉副社長に社長を譲ったが、リーマン・ショック(2008年9月)を主因とする金融危機による業績低迷を受けて2009年に社長に復帰するという仰天人事があった。その後3年間で業績回復後は、2012年に竹田光広氏に社長をバトンタッチし、2014年には取締役も退任し名誉会長に就任している。今回71歳の重松氏の社長復帰はさすがになかったものの、今回の経営危機を松崎新社長がうまく乗り切れない場合は、カリスマ創業者の出馬もあるかもしれない。それぐらいの危機だと思う。

今回の経営不振がコロナ禍による一時的なものであれば1年は無理にしても、2年程度での黒字化はそれほど難しいとは思わないが、もっと根源的な「ユナイテッドアローズ」というブランド力の低下にあるとしたならば、2年程度でリカバリーでは難しいはずだ。いずれにしても、2000年前後のいわゆる「ユニクロ危機」、2009年前後の「リーマン・ショック危機」を乗り越えてきたUAに、今「コロナ危機」と呼ぶ重大局面が来ていることだけは確かなようだ。

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