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6月の株価上昇率トップは靴製造小売のダブルエー

Jul 4, 2023.三浦彰Tokyo,JP
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ダブルエーが展開するシューズブランド「オリエンタル トラフィック」

「セブツー」では、独自に選定したファッション&アパレル関連82銘柄に関する株価の騰落率を毎月ランキングして発表している。今回は6月1日〜6月30日を対象期間にしたランキングを発表する。

この1カ月間、日経平均株価は、3万886円1銭から3万3189円4銭まで7.4%の上昇だった。1990年のバブル経済崩壊以降、実に33年ぶりの3万3000円台突入で活況に沸いた1カ月間だった。インフレ懸念はあるがコロナ禍収束で消費が大きく回復し、さらにインバウンド需要が加わって経済の復調が株価を後押ししている。

一方FRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利をめぐる思惑が複雑に絡んでいるのがNYダウ平均株価だ。つまり、インフレ抑制なら金利上げ、すでに不況入りしている米国景気を鑑みての景気重視なら金利維持という判断を迫られる難しい局面なのだ。注目されるのは7月25、26日に開催予定のFOMC(連邦公開市場委員会)だ。この2日間の会合で政策金利が決走される。6月13、14日の会合では金利上げが見送られたため、今回は利上げ必至と見られているがどうなるか。NYダウ平均は史上最高値の3万4000ドル台と3万3000ドル台の間を上下しているが、波乱もあり得る。

さて、セブツーによる2023年6月期の株価騰落率ランキングで、堂々の第1位(+29.3%)に輝いたのは、靴の企画・製造・小売りのダブルエー(東証グロース上場)だった。若年層向けのボリュームプライスブランド「オリエンタル トラフィック」「NICAL」で知られている企業だが、6月に株価が急騰したのは、6月15日だ。前日の6月14日に同社の第1四半期(2023年2月1日〜2023年4月30日)が発表されて黒字転換したために、6月14日の終値3675円から一気にストップ高の700円高の4375円で買い注文が殺到する事態になった。主要数字を紹介しておこう。

・売上高:42億8800万円(前年比+29.8%)
・営業利益:1億8900万円(前年はー2億1700万円)
・経常利益:1億8300万円(前年はー2億8700万円)
・親会社株主に帰属する四半期純利益:1億300万円(前年はー2億2500万円)

まだまだピーク時には程遠いがコロナ禍を耐え忍んだ結果、急回復している業績に対して「先物買い」が入ったようだ。

また株価には全く響かなかったが、6月1日にはアダストリアが運営する公式ファッションサイト「ドットエスティ」でダブルエーの2ブランドが6月7日から販売されるというニュースが発表されている。

上昇率第2位(+25.3%)はコメ兵ホールディングスだった。同社はセブツー5月度の株価騰落率ランキングでダントツの第1位(+41.2%)だった銘柄だ。5月15日発表の2023年3月期決算が驚異的だったためにその勢いが6月度でも続いたということだろう。詳しくは5月のランキング記事を参照してほしい。

上昇率第3位(+24.3%)はアパレル卸売り企業のダイドーリミテッドだった。「物言う株主」として知られる国内投資ファンドのストラテジックキャピタルは、ダイドーリミテッドの株を買い集めているが、6月22日付で財務省に保有株変更報告書(5%ルール報告書)を提出していたことが判明した。それによるとストラテジックキャピタルのダイドーリミテッド株式保有比率は13.37%から14.38%に増加。報告義務発生日は6月15日だった。ストラテジックキャピタルの買いがダイドー株を押し上げたということもあろうし、それに伴って一般投資家の思惑買いが株価上昇をもたらしたという観測も成り立つだろう。ストラテジックカンパニーの株集めが、どんな狙いなのかは現時点でははっきりしない。

上昇率第4位(+23.4%)と第5位(+23.1%)のTSIホールディングス、第6位(+21.8%)のキングについては、百貨店に消費者が戻ってきて業績好調なのを受けて、その恩恵を受けるであろう低位のアパレル卸売り企業に買いが入ったと考えられる。

一方、ワースト組に目を向けると最下位(ー22.5%)はセレクトショップのTOKYO BASEだった。6月14日に発表になった第1四半期決算(2月1日〜4月30日)が今ひとつパッとしないものだったのが投資家の売りを誘発したようだ。主要数字は以下の通り。

・売上高:47億2500万円(前年比+8.7%)
・営業利益:9700万円(前年はー500万円)
・経常利益:1億1300万円(前年比ー35.7%)
・親会社株主に帰属する四半期純利益:ー100万円(前年は7900万円)

もうコロナ禍が収束している2月1日〜4月30日までの春物の立ち上がり期の業績としては、先行きが心配になるような内容だ。

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