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Japan|百貨店のPBはなぜ成功しないのか?

Feb 6, 2019.久米川一郎Tokyo, JP
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公式HPより

三越伊勢丹ホールディングスのPB(プライベートブランド)の「ビーピーキューシー(BPQC)」が、2019年春夏を最後にブランド終了を正式に発表した。「ビーピーキューシー」は2000年にスタートしているから実に18年間続いて、「ファッションの伊勢丹」らしい試みとしてその評価も高かった。その初期に「ビーピーキューシー」のバイヤーとして有名だった故・藤巻幸夫(後に幸大と改名)氏と話したことがあった。「『ビーピーキューシー』のプロパー(定価販売)消化率ってどれぐらいなんですか?」「オフレコですけど、20%ぐらいです。伊勢丹史上最低だと叱られてます」。もう鬼籍に入ったし、ブランドも無くなるのでオフレコも解禁にしてもいいと思うので、敢えて書かせてもらう。カリスマバイヤーともてはやされた藤巻氏は本当に素晴らしい人物だったが、バイヤーとしての能力だけは明らかに足りなかった。いや、日本の百貨店のバイヤーというのは総じてこんなものなのかもしれない。いや、藤巻氏は伊勢丹が当時提携していたセレクトショップの総本山であるニューヨークの「バーニーズ・ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)」に派遣されてかなり長期間「修行」していたこともあるから、平均的な日本のバイヤーに比べたら、ちょっとはマシな存在だったと思う。その藤巻氏にして、このあり様なのである。商品をセレクトしたり、商品を企画・生産するということがどんなに大変であるか。百貨店のバイヤーというのは、ブランド間の激しい競争に勝ち残ってすでに売れているブランドをセレクトする者だということが、このエピソードからわかってもらえると思う。

昨年は、そごう・西武がPBの「リミテッド・エディション(LIMITED EDITION)」を休止したが、これに続いてのPB廃止となる。百貨店の生き残り策としては、①デベロッパーへの転換としてモール化を推進すること、②店のブランド力=のれんを生かしたEC=オムニチャネル戦略推進、③PB戦略強化があったのだが、すでに③の道は閉ざされつつあるようだ。

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