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TOBで非上場化のカッシーナ・イクスシーが2月度株価上昇率トップ

Mar 1, 2023.三浦彰Tokyo,JP
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カッシーナ・イクスシー青山本店

ウェブメディア「セブツー」では、ファッション&アパレル関連の代表的な83銘柄を選んで、毎月その株価の騰落率ランキングを発表している。
今回は2023年2月度が対象だ。

2月の株式市場全体の動きを概観してみると、NYダウ平均は2月1日の始値が3万4039.60ドルで、2月28日の終値が3万2656.70ドルで変化率は−4.1%だった。一方、日経平均株価は2月1日の始値が2万7483.41ドルで、2月28日の終値は2万7445.56ドルで、変化率は−0.13%だった。不況入りしていると言われるアメリカの株価は低調だったが、日本に関してはほぼ変わらずという推移だった。

これに対して「セブツー」が選んだファッション&アパレル関連83銘柄の2月1日始値合計は17万9006円で、2月28日終値合計は18万417円で+0.79%とほぼ変化がなかった。いよいよコロナが収束の気配を漂わせているが、政情不安や日本経済の先行き不安を感じさせる話題には事欠かずといったところであろうか。

さて2月の株価上昇率第1位(+27.3%)は高級家具の「カッシーナ(CASSINA)」の輸入販売などを手がけているカッシーナ・イクスシーだった。2月9日、オフィス向けコーヒーサービスやリゾート施設などの運営を手掛けるユニマットホールディングス傘下のユニマットライフ(カッシーナ・イクスシー社株を49.57%保有する筆頭株主)が、カッシーナ・イクスシーに対して非上場化を目的にしたTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表。TOB価格が1220円であることから、これにサヤ寄せする格好で株価が1220円まで急騰し、そのままの株価で現在も推移している。両社は高橋洋二氏が経営トップに君臨しているユニマットグループに属している。ユニマットグループとカッシーナ・イクスシーは今回のTOBによって、顧客の共有化や法人向けビジネスなどのシナジーを見込んでいる。買い付け予定数は191万3235株(下限64万8520株、上限設定なし)で、買い付け期間は2月10日から3月27日まで。TOB成立後に同社株は上場廃止になる予定だ。東京証券取引所は2月9日付でカッシーナ・イクスシーを監理銘柄に指定した。なお、同社第2位の大株主で12.65%保有するイタリアのカッシーナ本社も今回のTOBには同意している。

またカッシーナ・イクスシーでは昨年9月に2011年から同社社長を務めていた森康洋氏が突如辞任し(パワハラが原因と言われている)、ユニマットホールディングスの高橋洋二社長が同社の会長兼社長を務めてきたが、イタリアのジュエリーブランド「ダミアーニ(DAMIANI)」の日本法人であるダミアーニ・ジャパン社長のアレッシオ・ジャコルメ氏が3月29日開催予定の株主総会を経て正式にカッシーナ・イクスシー社長に就任する。高橋洋二氏は引き続き代表権のある会長にとどまる。

今回のTOBでは、2月9日の終値である940円に29.8%のプレミアムをつけた1220円という買取価格が設定されている。ユニマットが予定している目標株数191万3235株を1220円で買い取った場合の金額は23億円ほどで、売上高90億9200万円、営業利益4億3300万円、経常利益4億7800万円、親会社に帰属する当期経常利益3億1200万円(2022年12月決算)の会社を手中に納めることができるのだから、これはなかなか効率の良い投資とも言える。

株価上昇率第2位(+19.5%)はAOKIホールディングスだった。2月9日に発表されていた第3四半期決算が完全復調を思わせる内容だったのが評価されて、翌2月10日から継続的に買いが入っている。同社の2023年3月期の主要数字(売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)を第1四半期から追ってみると以下の通り(1億円以下切り捨て)。
第1四半期:392億円/15億円/13億円/12億円
第2四半期:755億円/20億円/16億円/5億円
第3四半期:1190億円/43億円/38億円/18億円
通期決算(予想):1727億円/88億円/81億円/41億円

今回の第3四半期で通期決算の修正はなされなかった。予想数字を達成できるかどうかは微妙だが、今の市場環境なら可能ではないか。昨年は五輪贈賄事件で、青木拡憲前会長及び青木寶前副社長の創業兄弟を含む3人の逮捕者を出した同社だが、昨年の3月通期決算でコロナ地獄を抜け出して黒字化を果たして五輪贈賄事件の影響もなく株価は堅調に推移していた、同社は、他の紳士服チェーンに比べて、事業の多角化を積極的に進めている。例えば2022年3月決算で同社の売上高をセグメント別に見てみると以下の通り(単位:億円、カッコ内は営業利益)

・ファッション:886億円(47億円)
・アニヴェルセル&ブライダル:79億円(−5億円)
・エンターテインメント:569億円(5億円)
・不動産賃貸:44億円(8億円)
コロナ禍で赤字だったアニヴェルセル&ブライダルや伸び悩んだエンターテインメント事業(カラオケ「コートダジュール」やネットカフェ&複合カフェ「快活CLUB」、24時間ジム「FiT24」)にとっては状況が一気に好転しているのだ。こうしたことを前提に継続的な買いが入っている。

株価上昇率第3位(+18.9%)はスポーツ関連のゴールドウインだ。2月7日に発表された第3四半期決算は相変わらず凄まじいパフォーマンスで通期業績も上方修正された。その修正内容は以下の通り(修正前の数字は第2四半期発表時のもの)

・売上高:1060億円→1135億円(前年比+15.5%)
・営業利益:170億円→203億円(同+23.0%)
・経常利益:214億円→262億円(同+29.2%)
・親会社株主に帰属する四半期純利益:160億円→200億円(同+39.4%)

ゴールドウインの株価は、2月9日の第3四半期決算発表後の翌日に大量の買いが入ったが、翌週の2月13日月曜日に利益確定の売りが出て反落したが、その後は買い続けられ3月1日に株価は史上初の1万2000円台に突入している。

ワースト組に目を移すと、第82位(変化率−15.9%)東京ソワールは、2023年1月度の上昇率第2位だった。また第83位最下位(変化率−16.8%)ルックホールディングスは2022年の年間(1月~12月)上昇率第1位だった銘柄だ。いずれも利益確定の大量売りが出たための株価下落のようだ。

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