・営業利益:31億1900万円(同+267.1%)
・経常利益:31億5400万円(同+277.8%)
・親会社株主に帰属する四半期純利益:4億1200万円(前年は−1億1900万円の赤字)
同社では通期の業績予想発表を控えているが、この調子なら通期でも黒字化は大丈夫だろうという買いが入っているようで、10月31日の第1四半期発表後には買いが殺到している。ちなみに今回の騰落ランキングの対象期間外だが、11月1日には前日の終値の2475円に比べて420円高の2895円で終わっていて、3000円台に迫る勢いである。
上昇率第2位(+25.9%)はダイドーリミテッドだった。今年7月8日に子会社のダイドーフォワードが保有する千代田区の本社事務所・店舗を売却して100億円の売却益が出すというニュースがあって、ストップ高183円の高値をつけた後は売られ続けたが、ここに来てまた買いが入っているようだ。売却益100億円は特別利益として計上されるが、同社は2023年3月末決算の業績予想を発表していない。6月の第1四半期に続き9月の第2四半期も営業利益、経常利益は赤字幅が小さくなったとは言え、赤字継続は確実だろう。しかし同社の場合、不動産資産があり1株当たりの総資産は209円57銭ある。通常どんなに業績が悪くとも1株当たりの総資産以下に株価が位置する場合は買ってみる価値があると言われる。1株当たりの総資産とは言ってみればその企業の1株当たりの解散価値でもあるからだ。赤字が続いても同社に買いが入る理由だ。加えて、同社の17.89%の株を保有する最大株主がアパレル卸売業の最大手オンワードホールディングスというのも同社株に関してさまざまな憶測を生む原因になっている。
上昇率第3位(+25.7%)は三陽商会。10月6日に発表になった第2四半期(2022年3月1日〜2022年8月31日)決算で、赤字幅が大幅に減少した。このため通期業績見通しを以下のように上方修正した。
・売上高:560億円→566億円
・営業利益:12億円→16億円
・経常利益:11億4000万円→17億5000万円
・親会社株主に帰属する四半期純利益:9億円→14億4000万円
これが投資家に好感を持って受けいれられて買いが入った。2015年の主力ブランド「バーバリー(BURBERRY)」の契約終了による業績不振から6期連続の赤字決算を続けているが黒字への期待があるようだ。また同社は東証プライム上場だが時価総額100億円というプライム条件があり、この条件を維持するためにも900円以上の株価はクリアしなければならないという事情もある。
ワースト組を見てみると、最下位のコックスは9月の株価上昇率第1位だった企業だ。10月5日に発表になった第2四半期(2022年3月1日〜2022年8月31日)決算は、売上高73億700万円(前年比+19.4%)、営業利益3億3700万円(前年−9億5500万円)、経常利益3億1400万円(前年−9億3100万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益1億8500万円(−9億8600万円)と大幅増収で利益が全部門黒字化するという見事な業績であったにもかかわらず、発表翌日から10月5日終値201円から10月13日の160円(終値)まで40%も売られてしまった。これは10月5日の第2四半期決算発表時に通期決算に関する上方修正がなく、これだと営業利益1億円、経常利益4000万円、親会社株主に帰属する四半期純利益−1億2000万円という通期決算のままで、これだと下期は厳しく低調になるわけで、今後期待できないと投資家から判断されたようだ。
ブービーの82位は下落率−10.4%のスノーピークだが、妻子のある男性との交際・妊娠で山井梨沙社長が突然辞任した(9月21日)当初は特に株価も下げなかったが、9月の月次売上高が10月14日に発表されたのと同時に約10%にあたる200円ほど下げている。日本での売上高が7月(前年比−8.3%)、8月(−10.3%)、9月(−1.9%)と3カ月連続で前年を下回ったのでやや売りが優勢になったのが原因ではないかと思われる。海外での9月の売上高は+64.8の米国、+70.5%の台湾などすべてが前年プラスで連結合計は+110.5%と好調を維持している。10月の日本での月次売上高(11月14日発表予定)が注目される。