・営業利益:5000万円→3億3900万円(前年は−11億8500万円)
・経常利益:1億4000万円→4億4900万円(前年は−11億8500万円)
・当期純利益:2億4000万円→5億1900万円(前年比+73.5%)
上方修正に関する同社の説明は「売り上げの計上を当社出荷時点から小売販売時点へ一部店舗で変更し減額になったが、小売事業を中心に店舗の集客が回復した。また売上原価において一部に製造コストの上昇はあったが、販売費及び一般管理費が想定を下回ったことにより、利益はいずれの段階でも予想を上回った」とある。ただし2月に入ってから株価は落ち着きを取り戻しており、800円台に戻っている。同社は2021年に、ラピーヌ社株買い占めで同社の乗っ取りに成功したフリージア・マクロス社(東証スタンダード上場)が同社株数の16.72 %まで買い占める事態を招いて(現在もそのまま)株価が1500円台まで急騰していた。現在はその半分程度の水準だが、今回の株価急騰は業績好転による瞬間的な買い殺到が原因だった。
上昇率第3位(+17.3%)は、TSIホールディングスだった。同社は2011年6月1日に東京スタイルとサンエー・インターナショナルが経営統合して誕生したが、すでに11年を経過したが、東京スタイルのブランド・事業はセレクトショップのナノユニバースと「ステューシー」以外はほぼ消滅している。さて今回の株価上昇は1月13日に発表された同社の第3四半期(2022年3月1日〜2022年11月30日)累計決算(売上高は前年比+11.1%の1154億600万円、営業利益は同−28.1%の37億2600万円、経常利益は同−18.9%の50億6100万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同−15.4%の46億2100万円)と同時に発表された自社株買い発表が原因だ。その規模は500万株・20億円を上限に、取得期間は1月16日〜9月29日。この上限株数を取得した場合の自己株式を除いた発行済株式総数に対する割合は5.8%だ。これはかなりのインパクトだ。当然市場はこれに鋭く反応して、翌営業日の1月16日には前日の終値の404円に比べて56円高の460円で引けた(高値は478円)。その後も買いが継続的に入り、株価はTSIホールディングスの思惑通り上昇を続けて500円台に突入している。業績好転の割に株価が上がらないもどかしさを見事に解消したということになる。
ワースト組に目を向けると最下位は株価変化率−17.9%のイオン系(イオンの持株比率67.81%)のカジュアルウェアの専門店チェーンコックスだった。最近はマスク専門店のマスク・ドット・コムや雑貨ショップの「ikka」などの展開が注目を集めている。1月13日に発表された2023年2月期第3四半期(2022年3月1日〜2022年11月30日算では見事に増収(売上高110億8300万円で前年比+13.0%で営業利益(5億1100万円)、経常利益(5億1700万円)、親会社に帰属する四半期純利益(2億8100万円)で利益3部門は前年の赤字から黒字へ大転換している。通期決算も上方修正された。しかし、株価は全く反応せずというよりも、1月11日の199円を今年のピークにして以降下がり続けている。上方修正の数字が期待を下回ったということもあるが、業績上方修正も俗にいう「材料出尽くし」ということで無視され、格好の売り時と判断されたようだ。コックス株は低位株でまた浮動株が少ないので一般投資家が頻繁に売り買いしているようだ。ただし、いつか大化けしてくる可能性も秘めているので要注意株だ。