
アイウェアブランド「ジンズ(JINS)」を展開するジンズホールディングス(以下、ジンズHD)は10月10日、2025年8月期の通期決算を発表し、売上・利益ともに過去最高を更新した。売上高は972億1500万円で前年同期比17.1%増、営業利益は120億9300万円(同54.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は83億3000万円(同78.3%増)となり、大幅な増収増益を達成した。
国内事業は全国540店舗で展開し、インバウンド需要の回復や高単価レンズ・フレームの売上好調が寄与した。国内売上高は766億5900万円(前年同期比19.2%増)、営業利益は113億4800万円(同45.7%増)となった。一方、海外事業は249店舗を運営し、売上高は205億5600万円(同9.9%増)、営業利益は前年から約17倍の7億4500万円と急回復した。特に中国市場は156店舗を展開しており、事業構造改革の効果が現れ、業績改善に大きく貢献した。
ジンズHDは今回の好調な決算を受け、年間配当を前回予想の94円から109円に引き上げ、前期の61円から大幅増配となった。
2026年8月期の業績見通しでは、売上高は1116億5000万円(前年比14.8%増)、営業利益は130億円(同7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は88億2000万円(同5.9%増)を予想しており、売上高は初めて1000億円を突破する見込みだ。
ジンズHDの好調な業績は、国内外での店舗展開戦略と高付加価値商品の販売強化が背景にある。国内では単価の高いレンズやフレームが堅調に売れ、海外では中国を中心に事業構造改革が奏功。特に海外営業利益の急増は、効率的な店舗運営とコスト管理の成果と見られる。
加えて、配当増額の発表は株主還元強化の姿勢を示すもので、投資家からも注目されそうだ。2026年8月期も増収増益が見込まれ、売上高1000億円超えが視野に入ったことで、ジンズHDは安定した成長路線をさらに加速させる構えだ。
業績と株価が好調ななかで、ジンズHDは経営体制の刷新にも踏み切る。11月27日に予定されている株主総会と取締役会を経て、現副社長COOの田中亮氏が代表取締役社長COOに就任する見通しだ。創業者で現社長の田中仁氏は代表取締役会長CEOへとポジションを移し、次世代経営陣にバトンを渡す。