・売上高:51億6300万円(前年比+13.9%)
・営業利益:8億4100万円(同+8.0%)
・経常利益:8億5000万円(同+6.7%)
・当期純利益:5億6100万円(同−1.7%)
当期純利益は、法人税率が特別措置で低かった前年に比べて減益になったが、営業利益、経常利益段階ではクラシコムはなんと16期連続の増収増益を達成した。業績については文句のつけようがないクラシコムなのだが、8月5日の上場以降の株価は実に残念な結果になっている。
まず今回の上場に際しての公募価格は1420円。8月5日(金)の上場初日の初値は1520円。同日に1910円の高値をつけ、翌週8月8日(月)には1962円をマークし、2000円突破も目前かと思われたが、その後は売り圧力に負けてズルズルと下落。特に16期連続の増収増益決算が発表された9月14日(水)を境にして、さらに売りが殺到して、9月20日現在は1000円を割り込みそうな状況に追い込まれている。
これは来年2023年7月期決算の同社による業績予想が、
・売上高:58億100万円〜60億4400万円(前年比+12.4〜+17.1%)
・営業利益:8億6600万円〜9億300万円(同+3.0%〜+7.3%)
・経常利益:8億7000万円〜9億600万円(同+2.3%〜+6.6%)
・当期純利益:6億100万円〜6億2600万円(同+7.2%〜+11.7%)
と実に「平凡」な予想だったことに起因しているようだ。投資家はD2C・コンテンツマーケティング・ブランド構築ビジネスの旗手としてのクラシコムにはもっと圧倒的な決算を期待していたようなのである。現在同社の1株あたりの純利益は87円程度。東証の平均株価は1株あたりの純利益の15倍程度だから、クラシコムの場合1290円が妥当株価ということになり、公募価格がさほど高かったわけではない。コロナ禍による巣ごもり需要の恩恵があって、ここ2年ほどは大きく業績を伸ばしたことは同社も認めているが、コロナ禍の収束が見えた今、成長企業として期待された同社は「普通の会社」になってしまったと投資家から判断されたということなのだろうか。同社の今後に注目したいと思う。