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6月の月間株価上昇率トップは脱アパレルで黒字化のパレモHD

Jul 4, 2022.三浦彰Tokyo, JP
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seventietwo.comでは毎月、ファッション関連の代表的83企業の株価の騰落率ランキングを発表している。今回は6月1日始値と6月31日終値を比較している。

まず概況だが、現在の株式相場の方向性を決めているのは、世界的な急激なインフレ、米国景気、米国金利ということになる。FRB(米連邦通過準備制度)の金利政策を決定するFOMC(米連邦公開市場委員会)が6月14日、15日に開催されたが、7月の利上げを当初予定の0.5ではなく0.75%にする決定を下した。このインパクトのためにニューヨークのダウ平均は6月17日には3万ドルを割り込むまで売られたが、その後買いが入ってなんとか3万ドル台はキープしているという状況だ。これに連動する日本の日経平均株価も冴えない。6月上旬はコロナの終息が見え始めて2万9000円をうかがうような動きだったが、ちょっと異常なインフレが進行するのと、米国金利の上昇から急激な円安進行で勢いを失い、当面の防衛ラインと見られていた2万6000円を7月1日には割り込む事態になっている。

こうした状況下で、6月の月刊株価上昇率第1位(+33.7%)はパレモ・ホールディングスだった。6月28日に発表した第1四半期(2022年2月21日〜2022年5月20日)がついに黒字転換したために一気に買いが入ったのだ。その内容は:
・売上高:46億6100万円(+11.0%)
・営業利益:1億7200万円(前期 −2億4600万円)
・経常利益:1億6500万円(前期 −2億4900万円)
・親会社株主に帰属する四半期純利益:1億5300万円(前期 −2億9600万円)

同社では、300円均一雑貨ショップの「illusie300」の新規出店によるアパレルからの業態転換が奏功しているようだ。店舗については36店の退店に対して、新規出店は3店舗だったのにも拘らず、第1四半期は増収増益だったので、今後も業務改善の効果が出ることが予想され、買いがかなり入っているのだ。

株価上昇率第2位(+22.1%)はデサント。これは5月12日に発表された3月本決算での黒字化が引き続き買いを呼んでいる。特に伊藤忠商事のTOB(2019年5月)以来、デサントでは中国事業に力点をおく経営に大きく舵を切ったが、2022年3月期での現地売上高は544億円(香港含む)を2021年3月期の333億円から急拡大しているのが特に評価されているようだ。戦略的パートナーの中国ANTAグループの販売力がパワフルでさらに2023年3月期は40%の売上高増を見込んでいるという。中国では「デサント」がハイエンドスポーツブランドとしての認知が急激に進んでいる。伊藤忠TOB効果がいよいよ本格化のようだ。

上昇率第3位(+17.9%)はコメ兵ホールディングス。前回5月の上昇率ランキングでは堂々の第1位だったが、その勢いは止まらないようだ。円安の急激な進行で高級ブランドの値上げが相次いでおり、当然のことながらコメ兵の人気はウナギ上り。銀座本店を始め出店も積極的だ。さらに詳しい株価上昇理由については、前月ランキングを参照してほしい。

上昇率第4位はファーストリテイリングだ。2021年3月2日に史上最高値11万500円をマークして以来、さすがに半値レベルまで株価が下がれば、業績は悪くないのだから株価は自律反転するという好例だろう。最高値の7ガケ(7万7000円)が目標値か。

いよいよコロナ終息が見え始めて、リアル店舗に勢いが一気に戻りつつある。そうなれば今まで相場をけん引いてきたEコマース関連の株が相対的に人気が無くなっていくというのは分かる。しかし、ワーストの4社が、メルカリ(83位)、エニグモ(82位、EコマースサイトのBUYMAを運営)、BASE(81位)、ZOZO(80位)というのは象徴的である。83銘柄中で6月1カ月間で10%以上株価を下げたのはこの4社だけだった。この中で2020年10月に史上最高値3448円から見ると実に10分の1以下になってしまったBASEの株価下落が止まらない。その業績も、2020年12月期に黒字転換をしたが、その後は2021年12月期に再び赤字化し、2022年12月期も黒字化は難しそうで、状況はなかなか厳しい。香取慎吾を起用したTVCMがむなしく流れ続けている。

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