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どっちを信じる?繊研vs矢野経。日本のアパレル小売市場規模はどれぐらいなのか?

Oct 18, 2022.三浦彰Tokyo,JP
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アパレル業界紙の「繊研新聞」が10月17日号第1面で2021年の衣料品市場調査を発表した。それによると2021年の日本のアパレル市場規模は8兆5331億円。前年2020年の8兆3412億円から2.3%増加したとしている。また2019年比は−11.8%でコロナ前水準には遠く及ばないと記している。

2020年2月からコロナ禍が始まったが、2020年日本のアパレル市場は急減し、史上最小を記録したのは間違いないだろう。

一方、矢野経済研究所が2021年10月12日に発表した2020年の日本のアパレル総小売市場規模は前年比−18.1%の7兆5158億円という実にショッキングな調査結果が出ている。

ところでこの2020年の市場規模に関して8000億円以上ある「繊研新聞」と矢野経済研究所の差はどこから生じているのだろうか。「繊研新聞」で執筆した柏木均之氏は、「その差については、アナリストの方などから問い合わせがある。矢野経済研究所はアンケート方式、弊社は様々な数字を積み上げた合算方式。この違いが大きい。また作業着は弊紙だけが対象なのではないか」。作業着の最大手のワークマン1162億円、第2位自重堂172億円、第3位塚本コーポレーション156億円、第4位アゼアス96億円、第5位ユニファームネクスト52億円を合算すると1600億円ほどになる。さらに「繊研」では靴下などもアパレル小売市場の対象になるというから2000億円ほどの差は埋まる。だからと言って両者の8000億円以上ある差はまるで埋まらない。

「繊研新聞」の調査は:
9兆6750億円(2019年)→8兆3410億円(2020年)→8兆5331億円(2021年)

矢野経済研究所の調査では:
9兆1732億円(2019年)→7兆5158億円(2020年)→集計中(2021年)

どうも「繊研新聞」の調査結果は大き過ぎるし、矢野経済研究所は全体に少な過ぎるというのが実感だ。いずれにしても日本のアパレル小売市場の正確な規模というのを計るというのは不可能なわけだが、この2社による推計をどう用いたらよいものやらと思案してしまう。

ひとつだけ共通しているのは、コロナ禍によって2020年は2019年から14〜15%程度市場が減少したということ。矢野経済研究所の2021年の市場規模推計は近々に発表されるということだが、これはおそらく2〜3%の増加に止まるだろうから8兆円には届かないということになる。

いずれにしても日本のバブル経済が崩壊した1990年の翌年1991年に記録した15兆円というのが日本のアパレル小売市場のピークだと言われているが、もうその半分になろうとしていることだけは間違いないようである。それはコロナ禍という中断はあったものの、確実にやってくるということだ。

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