ウェブメディア「セブツー」では、毎月ファッション&アパレル関連株83銘柄に関する騰落率ランキングを発表している。今回は2022年9月1日の始値と9月30日の終値を比較した騰落率になっている。
この間ニューヨークダウ平均株価(NYダウ)は、3万1454ドル58セント(9月1日始値)から2万8725ドル51セント(9月30日終値)まで実に8.6%の下落で3万ドルの大台を3カ月ぶりに割り込んでしまった。NYダウにほぼ追随して動いている日経平均株価も、今年6月20日に2万6000円を割り込んで以来3カ月ぶり、9月30日に2万6000円を割り込んでいる。いずれもコロナ禍収束、ロシアのウクライナ侵攻が原因の猛烈なインフレに対するFRB(米連邦準備理事会)の政策金利の急上昇に対する警戒感によるものだ。分かりやすく言えば、債券金利が急上昇するので株を売って債券を買う動きが進んでいるのだ。
9月1日始値から9月30日終値において、日経平均は-6.7%、「セブツー」が選んだファッション&アパレル関連83銘柄は-3.3%、値上がりは29銘柄、変わらずは1銘柄、値下がりは53銘柄だった。
こうした状況下で、今回の株価騰落率第1位(+35.4%)は、イオンの子会社(イオンの持株比率約68%)でカジュアルファッションショップ展開のコックス(東証スタンダード上場)だった。今年は7月6日発表の第1四半期(2022年3月1日~5月31日)決算で黒字転換した際に120円台から180円台まで急騰したがその後沈静化。今回は9月5日発表の8月次売上高が全店ベースで前年比+ 32.0%、既存店ベースで同+44.5%が評価されて140円台の株価が一気に180円台まで急騰した。当然のことながら10月5日発表予定の第2四半期決算が第1四半期に続き黒字転換し、かつかなりの好業績であることを期待した買いが継続的に入っているようだ。
このコックス株は最近では2020年6月に「ぴたマスク」「ひやマスク」が注目され、イオングループで販売されるマスクをコックスが独占納入するのではないかとの思惑や東京駅八重洲地下街マスク専門店オープンなどのマスク関連材料があって株価が403円まで「暴騰」するという相場があった。イオンが68%の株を持っているので株価は変動しやすいので、10月5日発表予定の第2四半期決算が注目だ。
上昇率第2位(+18.8%)は百貨店の松屋(東証プライム上場)だった。同社以外にも上昇率第4位の(+13.0%)にエイチ・ツーオー・リテイリング、同5位(+12.6%)に三越伊勢丹ホールディング、同7位(+11.2%)に高島屋がランクインするなど百貨店株が上位を独占した。コロナ禍が収束に向かって確実に動き始めていることで、コロナ禍の影響を最も受けていた百貨店株の見直しが進んだようだ。とくに入国緩和が急激に進みインバウンド消費復活の恩恵を受けそうな銀座店、浅草店の2店展開の松屋(ピーク時にはインバウンド売り上げが50%を超えていた)に買いが入るのは当然の流れだろう。あっさり1000円の大台に乗ってきた。
上昇率第3位(+15.4%)はハンドバッグ、カバンをショッピングセンターメインに販売しているサックスバーホールディングス(東証プライム上場)だった。この企業も第1四半期決算(2022年4月1日〜6月30日)の黒字転換を8月1日に発表して以来、株価が上昇している。また9月2日に発表した8月次売上高において全社ベースで前年比+33.2%、既存店ベースで同+40.4%をマークしている事も好感されている。なお9月16日にはメンズバッグメーカーのギアーズジャム(8月末店舗21店舗)の買収を発表している。
一方、ワースト1(83位)は下落率−17.8%のワークマンだった。ブービー(82位)は下落率−17.0%の西松屋チェーン、81位は−14.0%のメルカリだった。ワースト1、ブービーは業績好調で投資家に買い続けられていた株で、こうして全体基調が悪くなるとまず利益を確定しておこうというのが投資家の投資心理で、そうした売り圧力に押された株価下落だ。6月決算で再び赤字になったものの将来性に問題はないと買い続けられていたメルカリについても、ここは一旦売っておくというのが投資家のセオリーのようだ。