毎日新聞社は8月30日、2021年の「毎日ファッション大賞」の受賞者を発表した。大賞は「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のデザイナー小泉智貴氏、新人賞・資生堂奨励賞はシーエフシーエル(CFCL)の代表でクリエイティブディレクターの高橋悠介氏、鯨岡阿美子賞はここのがっこう、話題賞はスノーピーク、ファッション文化特別賞は故・高田賢三氏が受賞した。
大賞の小泉智貴氏は、11年に自身のブランド「トモ コイズミ」を設立。インスタグラムに投稿したドレスが世界的なファッションスタイリスト、ケイティ・グランド(Katie Grand)の目に留まり、一躍注目を集めた。彼のカラフルなフリルドレスは国内外で人気となり、ファッション界に大きな影響を与えた。2019年に「毎日ファッション大賞」選考委員特別賞を受賞している。東京2020オリンピック開会式では、国歌斉唱をしたMISIAのドレスが話題を集めた。
新人賞・資生堂奨励賞の高橋悠介氏は、三宅デザイン事務所で「イッセイミヤケメン(ISSEY MIYAKE MEN)」のデザイナーを務めたのち、20年に自身の会社シーエフシーエルを設立。サステナブルな取り組みや社会を変革していこうとするビジョンが明快で、無縫製ニットによる服の完成度も評価された。デザイナー、経営者としての総合的な仕事ぶりで注目を集めている。
鯨岡阿美子賞のここのがっこうは、「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」デザイナーの山縣良和氏が開校したファッション私塾。一般的な服飾学校とは違い、デザインの本質や自分の内にあるものをどう表現するかを学ぶ場としての評価は高い。山縣氏は「この度は、このような素晴らしい賞を頂き、関係者一同大変嬉しく感じております。近年の毎日ファッション大賞受賞者にも、2018年度新人賞の青木明子さん、2020年度新人賞の横澤琴葉さん、2019年度の特別賞、そして今年度大賞となった小泉智貴さんなどcoconogacco受講生の活躍を毎年のように耳にすることができ大変嬉しく思っております。今後はより気を引き締めて、日々変わりゆく社会と向き合いながら、ファッションを学ぶ環境を育てていきたいと思っておりますので、今後ともご支援、ご協力の程よろしくおねがいいたします。」とコメントしている。
話題賞のスノーピークは国産アウトドアブランドで、1958年の創業以来、革新的な製品の開発、高品質なものづくり、いつでも修理を受け付ける「永久保証」はサステナブルに通じ、信頼できるメイドインジャパン商品を生み出している。「人生に、野遊びを。」をテーマにソロキャンプ、ワーケーションなど新たなコロナ下のライフスタイル需要に応えている点も評価された。
また今回、故・高田賢三氏のためにファッション文化特別賞が設けられた。高田氏は「ケンゾー(KENZO)」の創業者。デビュー50年目にあたる2020年10月に亡くなった。パリでデビューし、世界のファッショントレンドをけん引した。単なるデザイナーではなく、ファッションの楽しさや生きる喜びをライフスタイル全般に広げ示した功績が評価されている。1985年(第3回)に「毎日ファッション大賞」を受賞している。
「毎日ファッション大賞」はファッション界のさらなる振興及び文化の育成に貢献するために1983年に毎日新聞社が創設し、経済産業省が後援している。