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「2021年重大ニュース」その2:ついに5兆円を割った日本の百貨店に未来はあるのか?

Dec 4, 2021.Tokyo, JP
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「チューズベース」

百貨店という時代遅れの流通に期待する人はあまりいないだろう。インバウンド消費や高額所得世帯の消費の受け皿として都心店には存在価値が認められにでもない。しかしコンビニエンスストア、有力ブランドの路面店、ショッピングセンター、アウトレット、Eコマースなどの競合が次々に現れてそのシェアを奪っており、都心店以外には勝機が感じられない。そこに来てこの新型コロナウイルスの来襲でとんでもない惨状になった。今年1月の日本百貨店協会の発表によると、2020年の全国の百貨店の総売上高は前年比−25.7%の4兆2204億円になり、1975年(4兆651億円)以来、実に45年ぶりの低水準になった。2割超の減少幅は、リーマン・ショック後の2009年の−10.1%を大幅に更新する過去最大だ。新型コロナウイルスの感染拡大で臨時休業や営業時間の短縮がもたらした結果とは言え、凄まじい惨状と言っていい。2020年年末の店舗数は前年より12店舗少ない196店になり、1970年(192店)以来、50年ぶりに200店を下回った。ちなみに全国百貨店の店舗数のピークは1999年の311店舗である。日本の全国百貨店売上高のピークは1991年の9兆7000億円がピークだから、1975年から16年かけて2倍になった1991年のピークを40年かけて半減させたという図式になる。まだまだ売り上げ減少と店舗数減少に歯止めはかかりそうもない。4兆円割れと150店が次の目安ということになりそうだ。

百貨店は従来の取引先では、十分な売り上げ・利益が確保できず、また若い世代へのアピールもできないとして、売り場をECブランドのショールームとして提供するショールーミング戦略をとり始めている。

まずそごう・西武は、9月2日に「チューズベース シブヤ」(約700㎡)をオープンした。ECブランドを中心に52ブランド(アパレル、化粧品、雑貨、生活雑貨など)を揃えた。内装もかなり大胆な未来志向のテイストでまとめられている。品揃えも含め来店した若い世代には好評なようだ。

また10月6日には、大丸松坂屋百貨店が大丸東京店4階のイベントスペースに「明日見世(asumise)」というショールームを約100㎡でオープンした。「社会を良くするめぐりと出会う」という今ドキのテーマで20のECブランドに特化されて構成され、3カ月に1度の入れ替えを行う。あえて売らない形態で来場者へのプレッシャーをなくしている。

いずれにしても手さぐりの状態である。ECブランドが、都心の立地のよい場所でショールームを必要としているのは間違いない。ただし従来の卸しビジネスのような利幅(販売額の30~40%)をとることは難しく、販売額のせいぜい10〜20%の手数料収入ということになる。このあたりが問題になるが、売れない商品の売り場になるより、売れる商品のショールームになった方がいいということになるのか。

コロナ禍でなりふり構わなくなった百貨店のショールーム戦略は果たして吉と出るか?

 

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