日経平均は、43,643円81銭と前日比625円06銭高、3日続伸。プライム市場では336銘柄が年初来高値を更新。三越伊勢丹HD、J.フロント、髙島屋、ジンズ、シチズン、セイコー、三陽商会と、消費関連が軒並み買われた。背景は二つだ。
①円安が1ドル148円台まで進み、海外売上高が多い企業に追い風
②政権交代への期待が消費回復シナリオを連想させた
でもね、業績が伴わないまま株価が上がっている構図だというのが、巳之助の見立てだな。
▷過去の政権交代を振り返ってみよう
2012年末の安倍政権は「アベノミクス」という伝家の宝刀で市場を沸かせ、日経平均は翌年22%高、円は25%安。海外投資家が一斉に流れ込んだ。巳之助も今までで一番儲かった頃だ!
対して菅政権や岸田政権では、就任直後にご祝儀相場はあったが、政策は国内色が強く、海外勢には響かなかった。数週間もしたら、株価が元に戻っちゃった記憶がある。
▷海外投資家ファーストで読むと
巳之助がいつも考える事。それは、東証プライムの売買代金の約70%を握るのは海外投資家という事実だ。今回の株の急騰だって説明できるよ。海外投資家は日本の細かい業界事情までわかっていないことが多い。だから「首相交代→財政出動→個人消費が伸びる→有名な百貨店やファッションが売れる」という単純な連想があるようだ。(実際、そんな海外投資家の話を耳にした事がある)
だから、日本のリーダー交代はきっかけにすぎず、真打は米国株と金利、そしてドルの行方なんだ。S&P500はPER25倍近辺と過去平均を上回り、不安定さが際立つ。更に昨日は、金利低下を受けてナスダックが最高値を更新、ハイテク主導で米株は上昇した。為替はやや円高、米長期金利もじり安。日本株先物は高くなっているから、東京市場も上値を試しそうだが、雇用統計やトランプ政策次第で一気に冷える可能性は残る。
▷10月、新リーダーが何を言うか?
市場の関心は次の総理に移った。候補者は日々増えているが、10月には新しいリーダーが登場し、最初の経済対策を打ち出すだろう。減税か財政出動か。海外投資家に響く戦略を示せなければ、今回の熱狂は一過性で終わるはずなんだ。
▷日本株の投資判断は、どう見る?
短期では「イベントで跳ねる」流れに便乗して、サッと消費関連株に行く手があるが、悪手になる可能性が高い。たぶん花火のように一瞬で終わる可能性が高いと考えるよ。米国の利下げ観測や世界景気の減速が重なれば、相場は下げに転じやすい。投資判断の軸は国内のリーダー交代と海外の地合、その二つを重ねて読まないと、痛い目をみるだろうね。
日本株は「国内の顔」と「海外の風」という二重構造の上で揺れている。だから、昨日の道頓堀のダイブは、あくまで一夜のイベントなんだよ。
巳之助メーター 2ニョロ 日本株はいま、監視レベル?
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)
買う時のポイントは、10月の新政権が海外投資家に響く経済戦略を示し、かつ米株と金利の地合が落ち着いた時こそ押し目だな。
■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。