
HUMAN MADEが東証グロースに上場し、公開価格3,130円に対して初値3,440円、高値3,840円、終値3,545円の値を付けた。先月、原宿にある店に行った時の行列の熱気と、友人Cさんが語った「株を作品として買う」独特の感覚が、巳之助には妙に重なっている。この上場は、ブランドでもアパレルでもなく、日本の資本市場に「株を買う=文化を買う」という新しい入口が開いた瞬間だったと巳之助は読んでいる。
先月、日曜の雨の原宿で、「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」の店前に約50人の行列ができていた。20代〜30代の男性が多く、伊勢丹メンズ館の若い富裕層と重なるような雰囲気があった。完売が前提のTシャツの棚は、まるで作品そのもので、アパレルというより「ギャラリー」に近い存在感だった。
その風景を見て思い出したのがCさんの一言。「株というより、作品を買う感覚なんですよ」。これはただの個人的な好みではなく、アートを資産として見る流れと同じ方向にある。株の保有が、ブランドの世界観への参加を意味する。巳之助の読みでは、HUMAN MADEは投資家にそう感じさせる特異な銘柄なんだ。
関係者によると応募倍率は全体で「60倍前後」とみられ、機関投資家は「35倍」、一般投資家は「80倍」に達した可能性もあるという。ストリートブランドが、ここまで投資家から注目を集めた例は極めて珍しい。日本のストリートファッションは、若者文化ではなく、いまや世界で価値が証明された「輸出産業」。サブカルは「サブ」の位置ではなく、本流経済の中心に移り始めた。その象徴が今回のIPOだったと言える。
HUMAN MADEの成長は、思想と経営が別々に走れる構造にある。NIGOが創造を守り、松沼CEOが経営を支える。これは高級ブランドが採用するモデルの日本版だ。売上高は18億円から112億円へ(目論見書ベース)。2026年1月期は136億円予想。営業利益率27%、プロパー消化率100%、直販比率81%も目論見書に示された数値だ。広告費をほとんど使わず商品力と世界観だけで売り切る強度は、国内では稀有だ。関係者によると、NIGO本人は「50年、100年ブランドを続ける」と語ったという。その構想を実現するために、今回の上場資金は旗艦店、海外法人、M&Aへと回される見通しだ。
11月27日の株価は3,545円。PER27倍は期待値込みではあるが、ブランドの強度を考えれば妥当圏。巳之助の購買レンジは3,300〜3,500円。焦点は海外比率の拡大と、NIGO依存を越える第二の収益エンジンの育成だ。HUMAN MADEの上場は、単なるIPOではない。株という制度を「クリエイティブを支える仕組み」に転換させようとした挑戦だったと巳之助は読んでいる。利益だけではなく、文化の持続を仕組み化するという意思だ。原宿の行列とCさんの言葉。その両方が、この挑戦に共鳴した証だった。
プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。










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