「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などの作品で知られる漫画家の松本零士(享年85)が2月13日、急性心不全のため逝去した。告別式は近親者のみで行われ、お別れ会の詳細は未定。
1938年に福岡県久留米市で生まれた松本零士。本名は松本晟(まつもとあきら)。15歳で投稿作「蜜蜂の冒険」によって雑誌デビューした。高校を卒業すると上京し、漫画家の道を突き進んだ。SF漫画作家として知られるが、少女漫画、戦争もの、動物ものなど様々なジャンルの漫画を描いていた。代表作には「銀河鉄道999」「宇宙海賊キャプテン・ハーロック」「クイーン・エメラルダス」「宇宙戦艦ヤマト」など壮大なSF大作があり、反戦をテーマにした情感豊かな物語を多く描いた。宝塚大学特任教授、京都産業大学客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授を歴任。若手の指導にも尽力した。また、旭日小綬章、紫綬褒章、フランス芸術文化勲章シュバリエ受章。アニメ製作にも積極的に関わり、1970年代半ばから1980年代にかけては松本アニメブームを巻き起こした。
2017年には、松本零士生誕80年を記念してキャラクタージュエリー・アクセサリーを取り扱うブランド「ユートレジャー(U-TREASURE)」とコラボ。松本零士の作品を代表する2大キャラクター「メーテル」が身につけているペンダントをジュエリーサイズで再現したネックレスと、「キャプテンハーロック」のドクロベルトを共同製作した。「ユートレジャー」では、2015年「松本零士 × 愛媛の職人展 in monova」から、松本零士ロマンティックコレクションとして、「銀河鉄道999」のネックレス、ブローチ、指輪5種類を企画製作、販売している。
三重県伊賀市の伊賀鉄道は松本零士がデザインした忍者列車を走らせており、列車は地域のシンボル的存在になっているという。初代のブルー忍者列車は1997年10月、当時の近鉄伊賀線に導入された。その後、ピンク、グリーンと3編成に増え、会社は近鉄から第三セクターの伊賀鉄道になり、忍者列車もペイントからラッピングに変わったが、3色3編成で走り続けている。2009年12月のブルーのラッピング忍者列車のお披露目試乗会では松本零士が車体にサインし、同乗した。
また、2018年から松本零士がデザインを手がけた、アニメに登場する宇宙船をイメージさせる観光船「エメラルダス」が就航。「エメラルダス」は松本零士と東京クルーズの「子供たちが乗ってみたいと思ってくれる船」シリーズの第3弾。隅田川を通り浅草とお台場間をノンストップで運行。船内ではビールなどの飲み物も販売され、有料コンパートメント席もある。乗船定員100名。また、船内では同氏の代表作「銀河鉄道999」のキャラクター、星野鉄郎・メーテル・車掌さんたちの船内放送を聞くことができ、一緒に旅しているような体験ができる。第1弾は「ヒミコ」、第2弾は「ホタルナ」。
松本零士の漫画制作スタジオ零時社は「漫画家松本零士が星の海に旅立ちました。漫画家として物語を描き続けることに思いを馳せ駆け抜けた幸せな人生だったと思います。『遠く時の輪の接する処で、また巡り会える』と松本は常々申しておりました。私たちもその言葉を信じその日を楽しみにしています」とコメントしている。