「ノア(NOAH)」は、過去の在庫品やB級アイテムをアップサイクルするプロジェクトを日本で始動させた。スピードを増すばかりなファッション業界のトレンドの移り変わりに対して、SDGsの観点からの批判が強まってきた最近の情勢を反映した今回のプロジェクトは、一体どのようなものなのか。
まずは「ノア」の成り立ちやブランドポリシーからおさらいしたい。「ノア」は、「シュプリーム(Supreme)」の元クリエイティブディレクターであり、NYのストリートカルチャーの重鎮でもあるブレンドン・バベンジン(Brendon Babenzien)が2002年に立ち上げたメンズウェアブランドだ。日本でもストリートカルチャー愛好者を中心に根強い人気がある。元から商品の大量生産は行わず高品質なアイテムを少数精鋭で作り、エンドセールなども行わないというスタンスを取っている。そのため今回もブランドコンセプトを体現したプロジェクトだと言える。
「Not Dead Yet!」と名打たれた当プロジェクトでは、過去の在庫品やB級品に新たな価値を付与してアップサイクルする。第1弾となる今回は、京黒門染めの老舗「京都紋付」とコラボレーション。100年以上の歴史を持つ「京都紋付」ならではの特殊技術である「深黒染め」を用いることで、他の色の衣服と洗濯しても色移りしないという特徴がある。この技術の秘訣は、一度黒染加工をしたあとに天日干しなどの工程を踏むことで黒を深めるという職人技にある。「ノア」の日本チームは、日本ならではの伝統技術に着目して洋服を生まれ変わらせたのだ。
吸い込まれそうな深い黒で染色されたアイテムは、Tシャツやチノパン、フーディーなど全6種のラインアップ。価格帯としては8250円~2万4200円。原宿のノアクラブハウスと大阪のノアヌードルショップでの取り扱いとなる。