■母が教えてくれた「自分で買う幸せ」
---まずはシュウさんのご経歴について伺いたいと思います。幼少期のころから教えてください
桜川シュウ(以下、桜川):幼いころに父と母が離婚したので、幼少期は母子家庭で育ちました。母は三姉妹で、全員シングルマザー。私も二姉妹なので、女性ばかりの環境でした。母は経営者で忙しい人でしたが、仕事の融通をきかせてよく旅行に連れて行ってくれましたし、留学もさせてもらい、何不自由なく育ててもらいました。
---早くから芸能活動もされているかと思いますが、何がきっかけだったのでしょうか
桜川:小学生のころから「学校で一番かわいくなりたい」という思いを持っていて(笑)、芸能活動にはずっと興味がありました。実際に芸能活動を始めたのは中学3年生のころで、バンド活動やモデルの仕事をしていました。
---学生時代から複数のビジネスを展開されていますが、お母様の影響があったのでしょうか
桜川:そうですね。母からよく「誰かに買ってもらうのではなく、自分で買うことが幸せなんだよ」ということを教えてもらいました。その影響もあって、自然と欲しいものは自分で稼いで買おうと考えるようになりました。例えば、20万円くらいのギターを買ったときは嬉しかったですね。母の言う「自分で買う幸せ」を実感しました。
---本当に多才ですね
桜川:ありがとうございます。でも、20歳前後はまさに下積み時代という感じで、本当に大変でした…。毎日のようにオーディションを受けて、2日間で4,000円しかもらえないような映画・ドラマのエキストラの仕事をしていましたね。
女優業の拘束時間があまりにも長いので、ビジネスのほうに手が回らなくなってしまい…。お金がないのでシェアハウスに住み、現場のロケ弁をもらってきて、なんとかしのぐような生活が1〜2年ほど続きました。
■企業から声がかかる存在を目指して
---ご苦労されたんですね…。どうやってその状況を打破したのでしょうか
桜川:自分の目標に向けてしっかり取捨選択をして、生活を安定させることを考えました。私たち芸能人を起用しているのは、結局は企業さんです。SNSのフォロワー数などわかりやすい「数字」ができれば、企業さんのほうからお声がけいただける存在になれるのではないかと考えて、TikTokでの動画配信などを始めたんです。
それと同時に、Webアプリの会社を立ち上げて、プラットフォームビジネスを始めました。元々フリーのエンジニアたちが身近に多く、営業業務を請け負っていた経緯があるのですが、規模が大きくなってきたので本格的に法人化することにしたんです。
---ライブ配信を始めたきっかけは何だったのでしょうか
桜川:2020年1月の半ばごろ、中国の武漢で新型コロナウイルスが出て、都市が封鎖されたというニュースを見た直後に、テレビ番組で「中国人に人気の観光地ランキング1位 大阪」と紹介されていて…。春節も迫っていたので、すごく嫌な予感がしました。
これまでもSARS、MERSなどが流行しましたが、パンデミックが起きたら自宅から出られなくなりますし、まずは娯楽系の仕事から消えていきます。私のビジネスは、ほとんど娯楽系…。危機感を覚えて、その翌月からPococha(ポコチャ)のライブ配信を始めることにしました。
---ニュースとテレビ番組をみて、そこまで予想して動いたんですね!
桜川:私、すごーく注意深い性格なんです(笑)。だからニュースはよく見ています。でも、まさかあれほど感染が拡大するとは思っていませんでした。
■しっかりリサーチして、あえて「はずす」ことで成功
---Pocochaでは最短でトップランクのS帯入りを果たしていますが、成功の秘訣はなんでしょうか?
桜川:「Pocochaにどんな人がどの時間に来るのか」をというユーザー調査を1カ月くらい行って、戦略を練りました!
という部分がよかったと思います。
当時、配信のゴールデンタイムは20〜23時だと言われていたのですが、私はメインターゲットを50〜60代の経営者や投資家のユーザーに設定し、あえて配信時間は17〜19時としました。
会社員の方々は終業後に配信をみると思いますが、経営者・投資家の方々はむしろその時間、会食などで忙しいんですよね。だから、会食前に一旦お家で休んでいる時間を狙いました。そして、そのターゲット層に合うように「昭和の歌」をテーマにしたんです。
---あえてはずすことで成功されたんですね。
桜川:はい。その上で、当時の歌姫たちの曲はほとんど歌えるように練習して、昭和の時事や当時流行ったものなども毎日1時間くらい勉強しました。
---努力されたんですね。その後、TikTokのライブ配信に移行した経緯も教えてください
桜川:喉を酷使しすぎてしまい、「このまま続けると声が出なくなってしまう」と医師に言われて…。歌の配信は続けられないと思いました。
また、当時Pocochaの運営会社の株価が少し下がっていることも気になって、他のプラットフォームもみてみようと思ったら、ちょうどTikTokがライブ配信を始めたところだったんです。また研究をした上で、ライブ配信を始めることにしました。
■桜川シュウの代名詞 "Doll live"の誕生
---ドール配信はどのようにして生まれたのでしょうか?
桜川:これまでは本来の自分の得意分野ではないことも勉強しながら取り組んでいたのですが、TikTokでは自分の好きなこと、得意なことをテーマにして、将来につなげたいと思いました。
また、実はコロナ禍に1年半くらいかけて趣味でお人形さんの絵本をつくっていたんです。自分が創り上げた「好き」に溢れた世界観のシナリオがすでにある。そして、しゃべらないお人形さんを演じるということであれば、喉を痛めていてもできる…!と思いました。
---ドール配信が成功した理由は何だと思われますか?
桜川:背景、音、ドレス、メイク…。すべてこだわり抜いて創り上げている異空間なので、そのクオリティを評価していただけたのではないでしょうか。また、アドリブで配信するライブクリエイターさんも多い中、シナリオがあって世界観がぶれないところも大きいと思います。
---ちなみに、配信の準備はお一人でやっているのでしょうか。かなり時間がかかるのでは?
桜川:そうですね、一人でやっています。毎回メイクだけで1時間程度はかかります。衣装選びにはとても時間かけていますし、音楽にもこだわっているので…。何時間かわからないくらい時間をかけていますね(笑)。
---ドール配信の成功によって、何か変化はありましたか?
桜川:ありました! 芸能関連では、海外雑誌、ランウェイ、国税庁のe-Tax周知に関連するお仕事などをいただきました。
また、タイムチケット社などからライブ事業を手伝ってほしいと声をかけてもらい、「企業から声をかけられる存在に」という目標も達成できて嬉しいですね。 描いていた夢がどんどん叶っています。
■朝と夜に運動を1時間ずつ。月の2~3日の美容デイ
---シュウさんは美容・健康にもすごく気を遣われているそうですが、どのような生活をされているんですか?
桜川:まず、朝はこのような感じですね。
朝イチのストレッチは、首・肩中心。パソコン・スマホをみる時間が長いので、巻き肩にならないように気を付けています。これ以降の9時〜18時は仕事で、夜にも1時間ジムに行っています。なので、運動は1日2時間くらいですね。
美容に関しては、月に2〜3日「美容デイ」をつくり、ハイフやフォトフェイシャル、フェイスクレンジング、高濃度酸素水素吸入、オーダーメイドサプリメントの処方など、まとめて10箇所くらいまわります。
---普段のスキンケア等で気を付けていることはありますか?
桜川:基礎化粧品はあえてコロコロ変えています。同じものを使っていると、身体が慣れてしまって効果が薄れるように感じて。一本使い切ったら、なるべく成分が異なる違うものに変えていますし、朝と夜でも違うものを使っています。
あと、一人のときはジュースやお茶は基本的に飲まず、お水を毎日2リットル飲むようにしています!
■ストイックな生活のほうが結局はラク
---すごくストイックな生活だと思いますが、学生時代からそうなのでしょうか…?
桜川:いえ、学生時代は本当にちゃらんぽらんでしたよ(笑)!それに、20歳ごろにストレスで20kgほど体重が増えてしまった時期もあるんです…。そのときからジムに通うようになりました。
基本的に食べることが大好きだからこそ、しっかり運動しているというのもあります。誰かと食事をするときはしっかり食べて、それほど食べたい欲がない日は野菜・タンパク質中心の食事をして、メリハリをつけています。
---そうだったんですね!なかなか運動や食事制限が続かない方に向けて、継続するコツを教えてください
桜川:私も継続できずに苦労しました…。でも、あるとき「むしろ継続するほうがラク」だと気付いたんです。1回太っちゃったら痩せるのがすごく大変。でも、半年ぐらい継続してストイックな生活をしてると、だんだん体質が変わり、週に何回かチートデイをつくっても、すぐに元に戻るようになるんです。
---継続してしっかり身体を作ることで、むしろ苦労が減るんですね!
■ライブクリエイターの未来も見据えてアドバイス
---シュウさんは現在、ライブクリエイターの育成事業も手がけていらっしゃいますが、やりがいについて教えてください
桜川:エンターテインメントの教育に関するお仕事ができていること自体にすごくやりがいを感じています。というのも、私は昔から東京ディズニーランドが好きで、ウォルト・ディズニーさんになることが夢だったんです。
---プリンセス等のキャラクターではなかったんですね(笑)?
桜川:はい(笑)。東京ディズニーランドの創り込まれた空間に感動して、母に「ディズニーさんみたいになる!」と言いました。
あと、私は今もライブ配信をしてるので、ご相談に乗っているときに「まさにそこに悩んでいたんです」などと言ってもらえると、気持ちに寄り添えているんだなと思えて嬉しいですね。ライブ配信を使って夢を叶えた経験を活かして、配信の「その先」のお話ができることにもやりがいを感じています。
20〜30代のライブクリエイターさんが多く、若い貴重な時期にお預かりするわけですから、消耗させるだけの教育は絶対にしたくなくて、皆さんの成長や未来の仕事につながるようなアドバイスを心がけています。
---一人ひとりのキャリアを大事にされているんですね。どんな相談を受けることが多いんですか?
桜川:「配信の時間が取れない」というご相談は多いですね。でも、時間がないから配信ができないなんてことは絶対なくて、時間は作れます! なので、今の生活を伺い、どの工数を削るかまで事細かくアドバイスします(笑)。実際にママさんライブクリエイターで、家事育児を怠らずに月に120時間配信をして、渋谷ビジョン掲載権イベントで優勝した方もいますよ!
■自分のことをかわいいと言えない人生なんて!
---シュウさんは女性がかわいく自由に生きるためのアドバイスや発信も多くされていると思います。その根底にある思いを教えてください。
桜川:小学生時代、学校にフリフリなお洋服を着て通っていたら、「ぶりっ子」と言われてすごく傷ついて、外ではボーイッシュな恰好をして虚勢を張っていた時期がありました。かわいいものが好きなことを表に出せなくなったんですよね。
日本では自分で自分のことを「かわいい」ということを悪だとされる傾向があるように感じています。
---確かに、そうした傾向はあると思います。
桜川:でも、短い人生、自分で自分のことをかわいいって言ってあげられないなんて、私はどうかと思うんです。本心ではモテたい、見た目を良くしたいと思っている方は多いはずですよね。
私は、年齢や身体的な性別に関わらず、女性の心を持つ方には自分がかわいいと思うものを身に着けてほしいと思いますし、鏡の自分に向かって「かわいい、きれい」って言ってあげてほしいです。
そうすれば、もっとかわいくきれいになっていきますし、全てが良い方向に向かっていくと思うんです。出会いが増えますし、まわりもハッピーになる。ビジネスにおいても第一印象は大切なので、お仕事にも繋がりやすくなると思います。
私は母やおばたちが、「きれいでいたい」という思いがありつつも、忙しくておしゃれする時間がなくなっている様子を見てきました。でも、働いていてもきれいでいる方法はあるはずだと思いますし、それができる女性が増えてほしいと思っています。
---「女性が働く」ことへの思いについても教えてください
桜川:私は子育て中のママさんから「世の中から阻害されている気持ちになる」というご相談をよく受けますし、まだ男尊女卑の部分や「女性は家に」という考えが残っていると感じます。
もっと多くの女性が働き始めたら、この風潮はなくなって、女性も能力で見られる世の中になるはずだと思うんです。自分で稼げばお金を自由に使えますし、世の中と繋がっていることを実感できます。ぜひ、自分の力で自由に生きる喜びを感じて欲しいです。
---これから社会に出る女性たちは、まだ将来が見えていない部分もあると思います。そういった方々へのアドバイスもお願いします
桜川:学生さんたちには、ぜひ「多感」でいてほしいと思っています! 自分のやりたいことはどこから繋がるだろう、と常にアンテナを張っていると、絶対に糸口は見つかります。ちょっとしたチャンスを見逃さないようにするために、ぜひアンテナを張って探し続けてください。
また、10代・20代の期間はとても短いです。その一方で、出会いが多くて、かわいくありたくて、欲しいものが多い時期なんです。だから、「なんとしてでも欲しいものを自分でゲットしよう」という気持ちをもって、そのために賢く働くことを考えてみてください!
---ありがとうございます! 最後に今後の夢を教えてください
桜川:今でも、やっぱりウォルト・ディズニーになりたいですね(笑)。きれいでかわいいウォルト・ディズニーになって、皆さんが世界観に没入できるような空間・場所をつくっていきたいです。
映像監督やスタジオをつくることにもチャレンジしたいですし、パリコレモデルが夢だったので、30代前半までにパリ・コレクションに出たいですね!これからも夢を叶えていきたいです。
■桜川シュウ プロフィール
佐賀県生まれ、愛知県育ち。大学から東京へ上京。経営をしていた母親の影響もあり、学生時代からビジネスを開始。女優、モデル、ライブクリエイター、経営者などマルチに活躍。第1期TikTok 優良ライブクリエイター(LIVE Pro)/株式会社タイムチケット ライブエンターテイメント事業部事業部長
TikTok:https://www.tiktok.com/@shu_.tiktok