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コストカットで636倍の黒字化でも次の一手が見えない資生堂【いづも巳之助の一株コラム】

NEWAug 7, 2025.いづも巳之助Tokyo,JP
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撮影:セブツー

「資生堂の636倍増益、数字のバグか?」とSNSで大騒ぎだったね。ある意味サプライズで、資生堂株が一気に騰がった。でも、今回「ちゃんと内容をよく見ようよ!資生堂は、まだ生ぬるいよ~の巻」をお届けするよ。

今年の3月末の株主総会は、結構話題になっていて、「大幅な減益」「中国事業の失速」にもかかわらず、曖昧な経営陣の説明で、株主は怒り心頭だったと聞いた。その日から株価はジリジリ下げて、1カ月後はとうとう年初来安値2196円に。「あー、資生堂はとうとう駄目になったか」と見放されていたね。

そんな資生堂が、まさかの大逆転プレー。8月6日の中間決算では、前年1500万円だった純利益が95億円、636倍の黒字化だ。但し、好決算の理由は「売れた」からではなく、「コストダウンした」からだ。ちなみにこの黒字、どこで出したかと言うと

・販管費を245億円カット!!!
・売上原価を168億円削減!!!
・国内事業の営業利益は+207.5%の大幅改善!!!

でも、ここまで劇的にカットできたという事は、裏を返せば「これまでどんだけ怠けていたの?」とも言いたくもなる。 アクティビストが、何で黙っているのかが不思議なレベルだね。

資生堂の問題は、せっかく中期計画があるのに、その中身がよくわからないくらいフワーッとしてるからなんだ。例えば国内は、「コアブランド集中」なのに、一体どのブランドにどう資本を投じて、どのチャネルで勝負するんだよとか全く説明してくれない。次の「攻めのストーリー」がない限りは、全く信用しない方がいいんじゃないかな。今回の大幅なコストダウン額が逆に信用を失っているよね。

株価は最近、2600円を超えてきた。市場が「黒字化」を評価したことは確かだけど、ここで飛びついたら危ないよ!なぜなら、黒字の理由は、もう一回いうけど「売上増」ではなく「コスト減」だからだ。この株が“本当に伸びる”のは、成長ドライバーが数字で見えてきたときだよ。物語の“核心”はまだ書かれていない株は「買い」じゃないと強く思う。

ちなみに資生堂の自己資本比率は49%、現金は815億円。つまり、まだまだ財務的には余裕ありで、ブランド資産も潤沢、負債も軽め。だが、その余裕にあぐらをかいていれば、後ろから「MTG」のような怪物が一気に市場を飲み込んでくるかもしれないぞー。あー怖い。

▶巳之助メーター 2ニョロ とりあえず監視に
なかなかはっきり言わない企業体質じゃなかったのに、どうした資生堂。
(1ニョロ=素通り 2ニョロ=監視 3ニョロ=今だ!)

■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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