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傘を広げたら大きな「傘下」ができたTSI ウォーターフロント社買収で今後の空模様は?【いづも巳之助の一株コラム】 

NEWOct 27, 2025.いづも巳之助Tokyo, JP
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TSIホールディングスが10月24日、傘ブランド「ウォーターフロント」を展開するウォーターフロント社を完全子会社化すると発表した。譲渡実行日は12月1日を予定。「コカゲプラス(COKAGE+)」や「ゼンテンコウ」などのヒット商品を抱える同社は、2024年12月期に売上高30億円、営業利益4億4600万円を見込む。TSIは構造改革の仕上げ段階で、この傘を新たな武器に選んだ。

■「ウォーターフロント」の今
ウォーターフロントの2024年12月期は売上高30億円(+28.8%)、営業利益4億4600万円、純利益3億1000万円。20222年には赤字だった企業が、わずか2年で完全復活した。主力の「コカゲプラス」はUVカット・遮光・遮熱を備え、ネットでも完売続き。もはや傘は「日用品」ではなく「気象対応型ファッション」だ。

一方のTSI本体は、2026年2月期上期で売上高661億円(▲12.0%)、営業利益6億4000万円、黒字転換を果たしたが、国内EC売上は132億7600万円(▲16.8%)。「mix.tokyo」刷新による会員移行の遅れで、売上の谷が生じた。

■いよいよ「服の外側」に踏み出す
TSIは、ブランド単位の収益構造から脱却し、「グループとして稼ぐ仕組み」へ舵を切った。今回の買収はその流れの中で、衣料という「内側」に対して、気候や生活を扱う「外側」のビジネスを取りに行く動きだな。「ウォーターフロント」は、気象変動の影響を逆手に取る企業。アパレルが苦しむ夏・冬の偏りを、通年で稼ぐモデルに変えられる。傘だからね。
例えば、「ナノ・ユニバース」や「マーガレット・ハウエル」などとの協業で、「雨の日を楽しむ」ブランド体験が生まれるだろうな。ファッションの範囲を「天気」まで広げた点で、今回のM&AはTSIの分岐点になる。

■投資判断は?
株価は1,002円(10月24日終値、▲1.86%)。PER約16倍、PBR0.8倍、配当利回り約4.0%。自己資本比率75%、現預金288億円。デイトナ・インターナショナル連結で通期売上は1690億円へ上方修正済み。ここに「ウォーターフロント」(年商30億円)が加われば、来期は1700億円台が見える。巳之助の適正購買株価は950〜1,000円。一段高の節目は1,150円前後。

「衣料の内側」と「気候の外側」をつなぐTSIは、静かな再評価局面に入ったようだな。

プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前からムリをしない、のんびりとした分散投資を手がけ、保有株式30銘柄で、評価額約1億円。主に生活関連の流通株を得意とする。たまに神社仏閣への祈祷、占い、風水など神頼み!の方法で、保有株高騰を願うフツー感覚の個人投資家。

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