「アディダス」が「イージー」の余剰在庫を発売　国内では６月１日に販売開始

「アディダス（adidas）」は、イェ（Ye）ことカニエ・ウェスト（Kanye West）とのパートナーシップによるブランド「イージー（YEEZY）」の余剰在庫を５月31日（現地時間）に発売すると発表した。日本国内では６月１日に「アディダス」のコンファームドアプリ（CONFIRMED）で販売を開始する。

イェは、1997年に米国ジョージア州アトランタに生まれ、音楽プロデューサー兼ラッパーとしても活躍しているアーティスト。2000年代初頭から、歌・作曲・プロデュース業において大成功を収めており、グラミー賞には、2015年までに57回ノミネートされ、そのうち21回受賞をしている、カリスマ的存在である。

「イージー」は、2015年に設立。同ブランドは発売とともに完売するような人気ブランドで、「イージー ブースト」などアイコニックなスニーカーが特に人気アイテムだった。しかし、昨年10月、イェの反ユダヤ主義的な主張やヘイトスピーチがアディダス社の価値観に反するとして、「アディダス」は、イェとのパートナーシップを解消し、「イージー」の生産を終了。今年２月には公式オンラインストアを閉鎖した。これに伴い、およそ12億ユーロ（約1775億円、2023年５月時点）相当の在庫に関する対応が注目を集めていた。

今回の販売は、「アディダス」がイェとのパートナーシップを解消して以来、同ラインの商品を初めて一般の消費者に提供する機会となる。既存モデルのほか、昨年にデザインされ、今年発売予定だった商品を発売する予定。また、売上の一部を反ユダヤ主義と闘う世界的な組織である名誉毀損防止同盟（Anti-Defamation League）や、黒人男性ジョージ・フロイド（George Floyd）の白人警官による暴行死事件を受けて設立されたフィロニーズ＆キータ・フロイド・インスティチュート・フォー・ソーシャル・チェンジ（Philonise and Keeta Floyd Institute for Social Change）など、人種差別やヘイト問題と闘う団体に寄付するという。

「アディダス」CEOのビョルン・グルデン（Bjørn Gulden）は、慎重に検討した結果、一部の既存在庫の発売を決定したとコメント。「アディダス」は、既存在庫の追加発売について現在検討中としており、発売時期は未定となっている。