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富士フイルムが写真フィルムの受注再開 36枚撮りが1本2000円でもフィルムカメラを使う若者たち

Jul 11, 2023.田村太陽Tokyo,JP
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富士フイルム イメージングシステムズは、3月29日から国内受注を停止していた「カラーネガフィルム135サイズ」、「リバーサルフィルム135サイズ・120サイズ」の受注を再開し、一部写真フィルム、INSTAXチェキ製品の価格改定を6月7日に発表した。

価格改定後の各商品の値上げ率は、写真フィルムで約13〜88%、INSTAXチェキ用フィルムが約4〜17%と大きく値上がりすることになった。

今回の価格改定に関して、松本考司社長は「写真フィルム、INSTAXチェキ製品につきまして部材・原材料価格、輸送コスト等の高騰が進む中、生産効率の向上や経費節減などを行い、コスト吸収に努めてまいりましたが、企業努力のみで吸収することが困難であるため、下記内容にて価格改定を実施いたします」とコメントしている。2022年にも、同社は写真フィルムの価格を20〜60%値上げしている。デジタルカメラやスマートフォンの普及によって、フィルムの需要は減少しているものの生産は継続している。

と言うのも、写真フィルムの価格が上がり続け、36枚撮りフィルムが1本約2000円で取り引きされる一方で、若者たちの間でフィルムカメラが流行しているのだ。

現在フィルムカメラを使用している若者の多くが、SNSに投稿する目的で撮影しているという。素早く明瞭に撮影することができるデジタルカメラと違い、露出に失敗した際の色褪せた写真や、逆光で撮影した際に光の反射で写り込むフレアやゴーストなど、フィルムカメラならではの失敗に1回性を感じている若者たちが、他のSNSユーザーの投稿と差別化するためにフィルムカメラを使用している。

同社が一般向けコンパクトデジタルカメラを発売した2000年代以前には、SNSが存在せず、撮影する写真は記録するためのものであったが、インスタグラムの月間アクティブユーザー数が約10億人(2018年発表)に達した現在、写真は記録するための道具からSNSに投稿し、承認欲求を満たすためのファッションの一部に変化したのではないだろうか。

2020年にはカメラ専門誌の「月刊カメラマン」が休刊し、さらに創刊から94年目を迎えた「アサヒカメラ」も休刊、このまま写真文化が廃れていくことを懸念する声もあったが、若者らの間で新たなカルチャーが生まれているようだ。

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