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カメラ雑誌の連続廃刊を憂う

Jun 6, 2020.橋本雅彦Tokyo, JP
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4月20日に発売された2020年5月号を最後に「月刊カメラマン」(モーターマガジン社刊)は突然休刊した。休刊の告知もなく、次号の予告も掲載したままだったから、さまざまな憶測を呼んだが、広告主や執筆者に連絡したのは4月21日の10時だったというから、なんとも慌しい。創刊以来42年の歴史を誇っていたが、モーターマガジン社の刊行物ラインアップの中では、唯一モーターライフには関連のない出版物だっただけにいわば継子扱いされたのではないか。「ウェブ上でも継続して実施するかどうかは検討中」らしいが、「写真」というのがウェブの中で生存権を主張できるとはとても思えないが。

さらに驚いたのが、朝日新聞出版が6月1日に月刊カメラ雑誌「アサヒカメラ」を6月19日発売の2020年7月号をもって休刊すると発表したこと。同誌の創刊は1926年(大正15年)4月。今年で実に94年目を数える。2010年までは5万部以上あった発行部数は、近年徐々に減少。2018年以降は2万部台まで落ち込んでいた。直近は3万部台まで持ち直したというが、ここ数年伸び悩んでいた広告収入が今回のコロナで激減し、紙の刊行を断念したという。今後は「AERA dot.」内の記事として紹介していく。紙媒体は増刊やムックなどで引き続き刊行予定。同誌主催で有名な木村伊兵衛写真賞については朝日新聞社、朝日新聞出版共催で継続する。

今回の「コロナ・パンデミック」でEコマースが一躍消費のメインチャネルになったことで、その広告も大きく紙媒体広告からデジタル広告へのシフトが進んでいる。それが今回の廃刊の背景にはある。今回の「アサヒカメラ」の6月号(特集「いまこそ、フィルム」)は、自社広告を除くと広告ページは11ページで、そのうちカラー広告は5ページしかない。部数が3万部か5万部かというのはあまり経営的には大差がなくて、業績を決めるのはやはり広告。それがこの窮状では、廃刊もやむなしなのか。それともこういう文化遺産的な雑誌を発行し続ける体力が親会社の朝日新聞にはないということなのか。少なくとも、どう贔屓目に見ても「AERA」よりは発行意義があると思うがいかがだろうか。

デジタル時代を生きられない時代遅れの雑誌というレッテル刷って殺してしまうような非文化的な時代であってはならない。それが営々と続いている写真文化の息の根を止めるようなことがあっては、元も子もない。

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