植物の美からフォルムを描く「ロエベ」
ウィメンズもパリ復活した「コム デ ギャルソン」
「ドリス ヴァン ノッテン」LOOK6、LOOK52
独自路線のブランドも少なからず存在するのがパリの魅力だろう。「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」は久々にランウェイに復活した。黒でスタートし徐々に色を重ねていき、ラストには咲き誇る花々となる情緒的なコレクションを繰り広げた。一人の女性のあらゆる側面を覗いたようなストーリーを感じるドリスらしいコレクションだ。
「ロエベ」LOOK12、LOOK26
「ロエベ(LOEWE)」は違和感をあえて楽しんだようなフォルムで万物共存を訴えているかのよう。アンスリウムの花からインスパイアされたという。アンスリウムの花自体、どこか人工的で未来的なフォルムであるにもかかわらず、自然の産物なのだが、そうした「何故こんなフォルム?」といったデザインやフォルムが最近の「ロエベ」には多く見られる。新しい形への探究と、多様性への挑戦といったところか。着せ替え人形の紙の服のようなピクセル画像風の服にも注目だ。
「コムデギャルソン」LOOK7、LOOK18
見たことのないフォルムという点ではその先駆的存在が川久保玲による「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)だろう。6月のパリメンズに続き、レディスも久々にパリでの発表になった。肩から頭をすっぽり覆うようなフードや、ドレスを上下逆転したようなシルエット、どこかが極端に膨らんでいたり、出っ張っていたり。いつもならそれが社会に対しての怒りや苛立ちからの表出に思えていたのが、花束のような優しさで包みこんだ、ポジティブなシーズンになった。
コムデギャルソングループの「ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)」、「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」をはじめ、ウィメンズ発表は約3年ぶりになる高橋盾による「アンダーカバー(UNDER COVER)」、パリで初のプレゼンテーションを行った高橋悠介による「CFCL」などが復帰やデビューを果たした。また「イッセイ・ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」は8月に逝去した三宅一生氏を偲んだ演出だった。日本勢もそれぞれの向き合い方でパリコレに臨んだシーズンになった。